ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2025、9、11)

縦横・2.3×2.3cm

『淮南子』原道訓の一句を、金文で刻した「以身役物」(

身を以て物に役せらる)である。外物に因って己が身が

使役され、患わされる事である。原道訓には、「聖人は

身を以て物に役せられず、欲を以て和を滑《みだ》さず」

と有るが、聖人に非ざる凡人は、常に「物に役せらる」

状況に在る。故に状況の變化や他者の言動に、如何に

すべきか諸々思い悩み、心身をすり減らすのである。

其の結果が必ずしも良いとは言え無いのも、亦た世の

常でもある。「下手な考え休むに似たり」とは良く言われ

るが、「物に役せられず」でありたいと思っても、煩悩が

其れを拒否するのである。


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