ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2025、12、6)

縦横・2×2cm

『禮記』學記篇の一節をアレンジして、春秋金文で刻した

「箕裘之業」(箕裘の業)である。父祖以來の仕事を受け

繼ぐ事である。學記篇には、「良冶の子は必ず裘を爲

るを學び、良弓の子は必ず箕を爲るを學ぶ」と有る。己

は三十五代も受け繼がれた、其れこそ父祖以來の業で

ある神職を、弟に任せ勝手に東京に出て來た。何も言

わず箕裘の業に励んでくれた弟は已に旅立ち、其の弟

の妻や子供も旅だって幾星霜、己が娘も他家に嫁いで

一家を成し、今や中林を名乗る者は己一人、嫡孫の長

男でありながら、箕裘の業を棄てた結果の因果應報で

あろうか、中林家は、己を以て斷絶する、お家斷絶の張

本人は誰あろう、己自身である。則ち列祖列宗に恥ず

とは、こういう事を言うのであろう。


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