ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰陽刻自用印二顆(現代、AD2025、12、11)

縦横・1.2×4.9cm

老後の樂しみと日々の日記代わりに、文字を眺めながら即

興的に刻して來た單なる石彫りも、已に1500個を越えた、

諸々の癌を抱える身であれば、五年で1500なら絶対あと

五年は生き延びて3000にしてやる、などと馬鹿な事を考

えている。とは言え流石に記憶に殘る言葉が思い出せず、

氣の利いた詞も瞬時に作れなくなった。老化と惚けに犯され

出したと思いつつ文字を眺めていてふと思った。甲骨文字

の發見以來已に百年以上經過し、その間専門の文字學者

の方々の努力に因り、多數の文字が解讀されて來たが、其

れでも未釋の文字は多く有る。其處で甲骨文・金文共に同

字に措定するも、未だ解明されていない未釋文字四字を刻

してみた。上段が甲骨文字で下段が金文である。形から類

推すれば、全て「人」に關わる文字ではないのかと思うが、

或いは文字統一の過程で淘汰された幻の文字なのかもし

れない。未釋文字を見ていると、其處に古代人のロマンを

感じるのである。


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