ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰陽刻自用印二顆(現代、AD2026、2、25)

縦横・3×2.4cm

『荘子』天運篇の一句を金文で刻した、「西施捧心」(西施

心《むね》を捧《いだ》く)と、『三國志』徐邈傳の一句を戰國

篆文の回印で刻した、「清聖濁賢」とである。「西施云々」は

、何の考えも無く人の真似をすると、人々の失笑を買って

周圍から人が居なくなる事の例えである。天運篇には、「西

施心を病みて其の里に臏す、其の里の醜き人、見て之を

美とし、歸りて亦た心を捧きて其の里に臏す、其の里の富

人、之を見て堅く門を閉じて出でず、貧しき人、之を見て妻

子を挈いて之を去りて走ぐ」と有る。「清聖云々」は、酒の異

稱で所謂清酒と濁酒の事である。徐邈傳には、「平日醉客

は、酒の清む者を聖人と爲し、濁れる者を賢人と爲すと謂

ふ、邈の性は脩愼、偶々醉言するのみ」と有る。孰れにし

ても、清聖だろうが濁賢だろうが、酒の美味しい季節となっ

た。菊見酒から始まり、月見酒・雪見酒へと移って行く。


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