ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陰陽刻自用印二顆(現代、AD2026、2、26)

縦横・3×2.4cm

『新唐書』張薦傳の故事を古璽文で刻した、「青錢萬選」と

、『禮記』中庸篇の一節をアレンジして甲骨文出刻した、「生

知安行」(生まれながらにして知り安んじて行ふ)とである。

「青錢云々」は、張薦の祖父で『遊仙窟』の作者である張鷟

が、八たび制擧に合格し四たび參選に合格した事を指し、

何回試験を受けても其の度毎に必ず合格する、極めて優

れた文章の例えである。張薦傳には、「鷟の文辭は猶ほ青

銅錢のごとし、萬たび選びて萬たび中る、時に鷟を號して

青錢學士とす」と有る。「生知云々」は、聖人の理想的境地

を表した言葉で、中庸篇には、「或は生まれながらにして之

を知り、或は學んで之を知り、或は困しんで之を知る、其の

之を知るに及んでは一なり、或は安んじて之を行ひ、或は

利して之を行ひ、或は勉強して之を行ふ、其の功を成すに

及んでは一なり」と有る。おのれは、せめて「困知勉行」ぐら

いには近づきたいと思っていたが、無理であった。


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