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建仁三年藤原俊成九十賀記 中山篤親筆

 
俊成九十賀記 中山篤親(1656-1716 従一位権大納言)筆 江戸初期 巻子本 25.2×957p

 建仁三年(1202)十一月二三日、後鳥羽天皇が藤原定家の父・俊成の九十賀祝典を京極殿和歌所において主催した。その行事を記した一本が当巻子本である。俊成九十賀記の写本は、一般に藤原良経の「後京極摂政記」系統本、源家長の「源家長日記」系統本、原本未詳本の三系統に分類される。当本は外題に「中山前大納言篤親卿」とあり、書写者は中山篤親(1656-1716 従一位権大納言)であると推定される。また本書の跋文によると、原本は「俊成卿女の日記なりと云」と記す。中山篤親の見識の一端が垣間見られる。因みに、源家長日記本系統と対校するに、本文異同が多く存在し、家長日記系の本文に見られる誤写・誤謬の多くを訂正し得る良質の本文を保有している。なお、奥書によると本書の底本は、宝徳二年(1450)六月十八日中納言為重卿(俊成の孫)書写自筆本を以て書写校合したものという。
 中山篤親は正親町実豊の子で、中山英親の跡継ぎとなる。正親町家も中山家も藤原氏正統の北家流である。