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摂津三島玉川の里 今尾景年画
玉川の里  今尾景年 1845-1924 (弘化2-大正13) 享年80才。192×69cm 絹本・着彩

 摂津国の名所の一つ、玉川(大阪府摂津市三島、淀川の西岸)を描く。古典文学では「玉川の里」「三島の玉川」として知られる。「見渡せば浪のしがらみかけてけり卯の花咲ける玉川の里」(『後拾遺集』夏・相模)などもその一例である。ほかに「砧の玉川」と呼ぶこともあるが、「砧」は布などを木づちで叩いて柔らかくするときに用いるが、「砧」の「打つ木(ウツギ)」と卯の花の和名「ウツギ」が同名であることに因んだ言い方である。
 今尾は、幼名猪三郎。名は永勸、字は予裕。景年の号のほかに、別号養素斎、聯自楽居と称した。11才の頃から浮世絵師梅川東挙に師事し、14才で鈴木百年に入門し四条円山派を学ぶ。諸家の画法を研究して花鳥画を得意とした。掲載した図像は卯の花はもとより、生気を得た馬のさまを生彩に描く逸品である。