藤原実方花下避雨の図  伊藤鷺城(いとうろじょう 明治6年-昭和23年 1873-1948 享年75歳)画

 藤原実方中将が殿上人たちと東山へ桜狩りに出かけたところ、にわかに降り出した雨に皆あわてたが、独り実方は桜の樹下に身を寄せて、「桜狩り雨は降り来ぬ同じくは濡るとも花の蔭に隠れむ」という歌を詠んだので、人々がその風流心を賞賛したという『撰集抄』巻8第19などに見られる説話をモチーフにした図像である。「同じ濡れるのであれば桜の花の雫で濡れよう」という風雅の心を詠むこの歌は、『拾遺集』巻第一・春50に「題しらず/読み人知らず」で入集するが、説話では実方の歌とされ、後日この話を聞いた藤原行成が「歌は面白し。実方は痴(をこ)なり」と評したことから、行成との確執を生むことになった歌として知られる。
  伊藤鷺城は、谷口香橋の門に学び歴史画を描く。妻の伊藤小坡も日本画家。






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藤原実方 伊藤鷺城画