当ページの画像・テキスト等を Webサイトや印刷媒体へ転載・転用することを禁じます。 
春日権現記絵 狩野永信筆 26×36cm

般若心経を飲み込もうとする蛇をいじめる童子たち。(巻6)

蛇呑経説話の本場面は、春日明神による畜生道からの救済がねらい。般若心経全600巻の各巻経題と経文の一部を読誦することで存命へと導く観音信仰の性質を併せ持つ。

----------本  文-------------
春日の六道といふほとりに、一の蛇ありて、心経一巻をのむ。こわらんはべ、これをうち放てけり。其中に張行しける童部、たちまちに重病をうけゝるほどに、護法うらをすれば、大明神おりさせ給て、つげさせ給やう、「我に値偶せしもの、一の邪執によりて蛇道に堕したるを済度せんがために、心経をのませて悪趣の果報をのがれしめんとするを、うち放。返々遺恨なれば、とがむるなり。大般若一部を余疎、存命すべし」と仰らる。やがて転読すれば、平癒しけり。





春日権現記絵 A 狩野永信筆