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春日権現記絵 C 狩野永信筆
私の古典学
春日権現記絵 狩野永信筆 26×36cm

 般若心経を飲み込んだ蛇をいじめた童子が病気になった家に、物売女が薬や果物などを持ってやって来た。

 蛇呑経説話の本場面は、春日明神による畜生道からの救済がねらい。
----------本 文-----------
春日の六道といふほとりに、一の蛇ありて、心経一巻をのむ。こわらんはべ、これをうち放てけり。其中に張行しける童部、たちまちに重病をうけゝるほどに、護法うらをすれば、大明神おりさせ給て、つげさせ給やう、「我に値偶せしもの、一の邪執によりて蛇道に堕したるを済度せんがために、心経をのませて悪趣の果報をのがれしめんとするを、うち放。返々遺恨なれば、とがむるなり。大般若一部を余疎、存命すべし」と仰らる。やがて転読すれば、平癒しけり。