源氏物語図 雨夜の品定め 海老名正夫筆  内外タイムス社 昭32年 木版画 24×32.8㎝

 この図は源氏物語帚木巻の雨夜の品定めの場面を描く。五月雨の長雨が続く夜 に、17歳の源氏の宿直所へ頭中将、左馬頭、藤式部丞が訪ねてきて、女君たちの品定めが始まった。頭中将は女の品に三階級あることを説き、左馬頭は中の品に思いがけない女が存在することや理想の妻が少ないことを嘆き、夫婦間の忍耐と寛恕とを説く。藤 式部丞は賢い学者肌の女との体験を語る。源氏は特に口を挟まずに聞き役に徹している が、教養のある女に浮気された左馬頭の体験談などには強い興味を覚えた。
 画面左上の縹色の直衣を着用しているのが源氏。右隣に親しげに着座する紫色の直衣姿は頭中将。源氏は燈火を近づけ、色々の色紙に書かれた恋文を取り出して見せようとしている。そこへまた左馬頭と藤式部丞が宿直しようと源氏の宿直所を訪ねてきた。






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