常磐御前伏見の里  紙本 着色  91.5×34.5p

 はじめ近衛天皇の中宮九条院(藤原呈子)に仕える雑仕女であった常磐御前は、宮廷一の美貌の女性であった。その美しさに惚れ込んだ源義朝の愛妾になって、次々に三人の男子をもうけた。しかし、  義朝は平治の乱(1159年)に敗れ東国に逃れる途中、知多(愛知県)の地で敗死する。常磐御前は、平清盛の追手から逃れるために、厳冬降りしきる雪中を、7歳の今若(阿野禅師・全成)・5歳の乙若(円成)・生後間もない乳飲み子の牛若(義経)の三人の子供を連れて、山城国伏見から大和国宇陀に逃れて身を隠す。  図像はその場面を描く。懐に抱かれた牛若。母に付き添う今若と遅れて歩く乙若の道行きである。

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