伊勢物語図 第117段 住吉行幸 土佐光起筆 紙本着色 142㎝×44㎝ この図像は『伊勢物語』第117段「住吉の行幸」の場面である。慶長13年(1608)出版の嵯峨本『伊勢物語』には住吉への行幸を描く図像がない。イメージ図として貴重な資料になろう。またこの住吉行幸図で興味深いのは、帝と対峙して「大御神」を描いている点である。 なお『伊勢物語』当該章段の本文は以下の如くである。 --------------------------- むかし、帝、住吉に行幸したまひけり。 われ見ても久しくなりぬ住吉の岸の姫松いく代経ぬらむ 大御神、現形し給ひて、 むつまじと君は白波みづがきの久しき世よりいはひ初めてき --------------------------- |