源氏物語 若菜上 女三の宮 楊斎延一(明治5年−昭和19年 1872-1944 享年73歳)筆 絹本着彩 49cm×74cm 桜の花が散り行く三月ばかりの夕べ、六条院で兵部卿宮・柏木・夕霧などが参加して蹴鞠が催された。その折りに、首紐を付けられた小さな唐猫が大きな猫に追いかけられて御簾から飛び出したので、首紐が御簾を跳ね上げて御簾の前に立って蹴鞠を見物していた女三宮の姿を柏木が目にすることになった。女三宮はすでに源氏の正室になっていたが、柏木は女三宮の美しく高雅な姿に恋心を強くするのである。 延一は、渡辺氏、のち島田氏。名は次郎、楊斎を号とした。周延の門人。昭和19年、73歳で亡くなった。 |