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兼好家集









兼好家集     文政10年((1827)写    23.2p×17.6p

 内題「兼好家集上」、第2丁〜40丁本文墨付、41丁〜46丁奥書などで構成する。本文は「家集上」「家集下」で成る。「家集下」の本文に続く41丁表は奥書で、「写本云……長秋員外監通村判」とある。これは前田家尊経閣文庫蔵「兼好自撰家集」の転写と見られる。41丁裏は「此一冊者右以中院前内府通村公自筆之本写之墨滅仮名遣随写本而巳」の奥書で、冷泉通村の自筆本を仮名づかいまで写本通りに書写した旨を記している。42丁表は「家集事/歌員事/不可定之多少随意/……已上得此意可書之」、43丁表に「春のころよりこむといふ人の秋になるまてとはぬに/はるもくれなつもすきぬるいつはりのうきは身にしむ秋のはつかせ」の詞書と和歌を記す。以下、「寛文甲辰之夏/弘文院林学士」の刊記がある弘文院林学士(林鵞峰)が寛文4年(1664)に認めた卜部兼好の小伝事績へと続く。さらに続けて「此一書は岩佐氏なにかしのもとよりかりてうつしぬ……文政十の春中比 佐藤□山」の跋文を有する。

 本書は前田家尊経閣文庫蔵本を祖本としていると見られるが、本文異同のみならず構成を異にするところもあり、転写の過程を知ることができる資料である。