2003.3.20 に更新しました

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Copyright (C) 1997 Toshihiro Hamaguchi
最古の具注暦が見つかる


(朝日新聞 2003.2.27 朝刊 41997号を転載。)
 奈良県明日香村の石神遺跡(飛鳥時代)で、毎日の吉凶を書き添えた具注暦と呼ばれる国内最古の暦の木簡が見つかったと26日、奈良文化財研究所が発表した。表と裏に689年の3月と4月分が書き写されていた。これまで最古だった静岡県浜松市の城山遺跡で見つかった暦の木簡(729年)より、40年古い。暦が当時の日常生活に浸透していた様子を示す第一級の資料という。
 出土した木簡は厚さ約、14_、直径約10aの円状で、中央に14_大の穴があった。表裏とも7行で、各行に十干と十二支の漢字2字の組み合わせ、十ニ直(日の吉凶を漢字1字で表わす記号)、暦注を記載。暦注には帰忌《きこ》(この日の帰宅ば凶)、天倉(蔵開きに吉)、往亡《おうもう》(旅行などは凶)などと記してあ1日)の干支を割り出し、445年から1872年までの全部の月の朔日の干支をコンピューターで調べた「日本暦日原典」(雄山閣)と照合し、689年の3、4月とわかった。暦注ほ毎日の十二支と規則性があり、不明な個所も一部復元できた。
 3月の暦を裏返すと4月の暦となるため、役所の壁などに掛けてカレンダーとして利用したとみられる。
 宋(南朝)の時代につくられた暦法の元嘉《げんか》暦の実物の発見は中国、朝鮮半島も含めて初めて。
飛鳥人が見た689年の暦
国内最古、日々の吉凶つき
奈良・明日香村から出土
具注暦が記された木簡(表)