QGISを起動してみる(1)

QGISはWindows/Mac OS/Linux/Androidなど異なるOSでも,大差ない操作で利用できるGNU open source software である。 以下の説明は、MaxOS 10.8上のGQIS ver.1.8.0-Lisboa に基づいているが、他のOSでもほとんど同じはずだ。

Shapeファイル

地形図上に表わされている情報には、地質状況、土地状況(田畑か樹木、市街地)、河川や道路(場合によっては、その幅も)だけでなく、等高線、町の名前や行政境界、地名や店など多様である(他にどのような情報があると興味深いかを考えることだけでもきわめて大切だ)。 地図を描くためにはこのようや多彩な図形情報や属性情報が必要である。 すなわち、GISのためにある図形が地球上のどの位置にあり、どんな形状をしているのかや、またその図形にはどんな「属性」(性質・特徴・数値など)を持つのかなどの複合的情報を詰め込んだデータ群が必要になる。

どのようなデータの保持形式の1つにESRI社が策定したShapeファイル形式があり、GISの世界では比較的広く使われている。 Shapeファイルは単一のファイルではない。 拡張子として . .shp、.shx、.dbf、.sbn、.sbx などのファイル群がshapeファイルというGIS情報を構成しているというのが正確な記述である。

ただし、Shapeファイル(群)だけがGIS情報を保持するわけではなく、国土地理院の国土数値情報ダウンロードサービス電子国土ポータルにあるように、さまざまな形式のGIS情報が存在している(GML形式やGoogle Eartrh形式であるKMLファイルもその1つである)。

Shapeファイルのサンプル

国土数値情報ダウンロードサービスからもShapeファイルをダウンロードすることができるが、まずここでは 「みんなの地球地図プロジェクト」にあったShapeファイルデータshape_jp_1_1.zip(ZIP圧縮)をダウンロードしよう。

国土地理院が主幹となった「地球地図プロジェクト」の一環として進められていた「みんなの地球地図プロジェクト」ページは http://www.globalmap.org/ にあったが最近ドメイン名の所有権が移転したようで、既にデータは置かれていない。 ここで元データを公開してもよいかどうかは不明だが、長い間公開されていた故をもってあえて再掲することにした。参考:文部科学省我が国における地球観測の推進)。

このZIPファイルをダウンロードして展開すると、フォルダshape_jp_1_1内に次の表のようなShapeファイルが格納されていることがわかる。 拡張子が .shp であるファイルをshapeファイルということもあるが、上で述べたように「Shapeファイル」はある形式でデータ保持された複数のファイル群の総称であり、1つのファイルだけでGIS情報を表示することはできない(GISでのデータ保持形式は多用で複雑だ)。 今の場合には、あるShapeファイルは .dbf, .prj, .shp, .shx の4ファイルから構成されている。

ファイル名対象データファイル名対象データファイル名対象データ
bnda_1_1行政エリアdndl_1_1行政境界dndp_1_1隠岐・小笠原
hydroa_1_1内陸水域hydrol_1_1河川hydrop_1_1ダム所在地
oceansea_1_1海域popa_1_1密集地域popp_1_1市街地
transl_1_1道路transp_1_1飛行場

Shapeファイルを表示する

これらのShapeファイルをQGISで表示させてみよう。

  1. GGISを起動すると真白いウィンドウが現れる。
  2. /read_jpn_and view_Menu 展開して得られたファイル群から bnda_1_1.shp をウィンドウにdrag&dropすると、日本全図が『全体図』パネルに表示される。 ここで、[ビュー(V)menu]のサブメニュー下方にある『パネル』から「レイヤ」をチェックして、レイヤパネルを表示しておこう。 日本全図の拡大縮小と移動は、図のように[ビュー(V)menu]で行う。 ウィンドウ下端にある「縮尺」からでも縮尺を変えることもできる。
  3. 日本全体図を拡大して,自分のよく知っている地域全体を拡大医してみよう。 「拡大」「縮小」の調整をして、[ビュー(V)menu]-[地図移動]にしておくことよい。 自由に拡大縮小と地図移動ができること大切だ。 Windows上端にならぶツールバー手のツールhandを選択して地図を移動できる。
  4. [ビュー(V)menu]-[地物情報表示]にチェックをいれて、地図をクリックしてみよう。選択したポリゴン領域のデータが表示される。 下図は横浜市を選択して現れた地物情報である(地物情報とは何かは今は分からなくてもよい。ポリゴンや点ごとに、こうした地物情報が与えられている)。 地物情報については、Windows上端にならぶツールバーにある地物情報ツールtibutsuをクリックしてもよい。 注意すべきは、(継承している属性)として、「laa YOKOHAMA-SHI](赤線で囲んでいる)、「nam KANAGAWA」(青線で囲んでいる)とあることである。
    yokohama_tibutsu_info1
  5. 地物情報ツールtibutsuの詳細を紹介しておく。 tibutsu_menu
  6. from_layer_rigt_click 属性はもっとある。 Shapeデータの持つ属性を知るには、レイヤパネルから読み込んだデータを選択して右クリックし、右図のように現れるサブメニュー「属性テーブルを開く」を開くと、データの持つ『属性』情報と各属性に付与されたラベル値の一覧を見ることができる。
    すると下図のように、bnda_1_1.shp属性は、LAA属性(赤で囲んだ)のラベル値「市町村名」、NAM属性(青で囲んだ)のラベル値「市町村名」以外にもf_code, d_code_des, coc, socがあることがわかるはずだ。 これらの属性の名前それ自体はデータ作成者が自由に決めることもできる。 また、「市町村名」や「市町村名」などのラベル値に日本語を使うこともできる(あとで、そのような例をみる) attribite_table-label_names
  7. layer_prpperty_Label_name

    日本全土を構成しているポリゴンエリアにLAA属性のラベル名(ローマ字での市町村名)を表示させてみよう。

    1. レイヤパネルから読み込んだ目的のshapeを選択して右クリックし、 現れる「プロパティ」を選択すると右図のウィンドウが現れる。

    2. ここで、ラベルタブを選び(青で囲んだ)、「□ラベルを表示」をチェックし(赤で囲んだ)、ラベルプロパティで「ラベルが含まれているフィールド」から「laa」(赤で囲んだ)の属性を選択する。 ここでは、さらに見やすいように、「□ラベルの縁取り」をチェックして文字の背景と縁取りを加えている。これをon/offの効果を自分で確認するように。

    3. 最後に、下にある「Apply」ボタンを押すと下のように、ポリゴンに指定した属性の文字列(ここでのデータではローマ字)が書き込まれる(念のために、世田谷区と大田区を漢字で指し示しておいた)。 named_polygon

  8. この例では、青紫色のポリゴン色である。 下図のようにプロパティから左端タブの「スタイルマネージャー」で「変更」ボタンから、色などを自由に変更できる。 地の色を濃くしたりするのは適切なことではない(できるだけ、薄い色にするか白でよい)。 change_polygon_color