2つのPython実行方式
Pythonの世界で動作実行するには2つの方式があります。
- Pythonシェル
Pythonステートメントをキーボードから1つ1つ入力し、その入力ごとにPythonの実行結果である応答を確認できる対話型のPythonシェルの動作方式 - 一括実行
Pythonに実行させるステートメントの並びを記述したファイルをあらかじめ作成しておき、そのプログラムファイルをPythonに読み込ませてステートメントを実行させる一括実行の方式
ステートメントの並びをプログラム(program)あるいはスクリプト(script)と称することがあります(プログラムとスクリプトの厳密な区別をする必要はありません)。 つまり、プログラムは少なくとも1つ以上のステートメント(文)からなります。 プログラムを書いていくという創造的な行為がプログラミングです。 コンピュータ科学の大家であるDonald Knuth先生の有名な著作のタイトル"The Art of Computer Programming"が示すように、プログラミングは美しく創造的な行為です。
実行動作方式の1つであるPythonシェルを使ってステートメントごとにキーボー入力し、Pythonからの応答を確かめながらプログラムを実行させるやり方は、ステートメント記述や構文の誤りなどを直ちに気づかせてくれるのでプログラム学習として重宝しますが、いちいちキーボードから入力するための時間を要するために目的の処理を達成するためには相応の時間がかかります。 一方、処理目的を達成するステートメントをあらかじめプログラムファイルとして正しく書いておけば、Pythonに一気に読ませて実行させる一括方式では処理時間を極めて短くすることができますが、正しく動作するプログラムをいきなり書き上げることは初学者には容易なことではありません。 Pythonの動作理解とプログラム学習には、この2つの方式を区別してうまく使い分けることが大切です。
ターミナルからPythonを実行動作する
話が複雑になるようでいささか心配なのですが、通常のインストール作業によってPython環境を構築した場合、Python世界への入り方には2通りの方法が用意されています。
1つ目のやり方はython IDLE(Integrated DeveLopment Environment)と称する統合開発環境のアイコンをクリックしてPythonを動作させるやり方、2つ目のやり方はターミナルウィンドウを開いてPython起動コマンドを入力するやり方です。 Pythonシェルの起動やプログラムの読み込ませ方というPython世界に入る道筋が2通りあるだけで、この両者にはなんら違いはありません。
IDLEはWindowsやmacOSのようなGUI(Graphical User Interface)環境を備えている場合にはそれなりに便利ですが、プログラムを学ぶ初心者にとっては必ずしも教育的であるとは言えない場合があります。 本書を読み進めていくと理解できるようになりますが、ファイル管理(コンピュータにおけるデータ保持に仕方とアクセスのあり方)を知 ることはプログラミング理解には欠くことのできないからです。
そこで、こここでは一貫してPythonの実行をターミナルウィンドウからのコマンド入力によって実施することにします。
Pythonプログラミングへのアプローチ
以上をまとめると、今後はPythonプログラミングへ次のようにアプローチしていきます。
- ターミナルコマンドによってPythonを起動させる。
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- Pythonシェルを通じて対話的にPythonの動作を確認する
- プログラムファイルを書いて、これをPythonに渡して一括実行させる方法を紹介する。
ターミナルからPythonを使う方法に慣れておくことは、パソコンに対する理解を深めるだけでなく、相手のローカルコンピュータからリモートコンピュータにログインして手元のコンピュータから接続先のコンピュータでPythonプログラムを書いたり実行する利用を広げることになります。 たとえば、超小型コンピュータRaspberry Piをネットワークにつないで工作的な利用に有用です。
他のプログラム言語の経験があったり、以下の各見出しの内容の多くをご存じの読者は、知識を確認する程度に適宜読み飛ばしても構いません。 プログラムについての事前知識のない読者は、以下のようにPythonシェルを起動させて,自ら実行してみて下さい。