バックスラッシュ記号の入力

TeXファイルの制御コマンドでは、バックスラッシュ(backslash)記号「\」を多用します。 たとえば次のように:

\documentclass{jsarticle}

\usepackage{graphicx}

\title{走れメロス}
\author{太宰治}
\date{1940年5月}

\begin{document}
\maketitle
...
\end{document}

TeXファイルのタイプセットがどうしても上手くいかない場合には「バックスラッシュ記号」がちゃんと使われているかを確認してみてください。

日本語キーボードでは、通常、このバックスラッシュ記号の入力を半角の「¥」キーで入力することになっています。 これは、次のようにコンピュータで取り扱う文字集合の問題に起因しています(詳しくは、テキスト & Text参照)。

ascii_letters 世界最初の文字集合であるASCII(American standard code for information interchange)文字集合は7ビット長のコードで、左図のように可視化文字としては 0x21 から 0x7E(0xで16進数を表すとしています)までの94文字が定義されました(空白 SP など不可視文字も定義されており、これらも不可欠であることに注意)。 この中の 0x5c がbackslash 「\」に割り当てられています(5列目C行を見てください)。

JIS_X0201

一方、最初に制定された日本語文字集合 JIS X0201 はASCII文字+半角カタカナ でした。 JIS X0201 では、0x5c が 半角「¥」に割り当てられました(5列目C行を見てください)。 他にも、0x7e がASCIIでは チルダ(tilder)、一方 JIS X0201 では オーバーライン(overline)になっています。 こうした経緯で、日本語キーボード入力の場合、「\」=半角「¥」という暗黙の了解ができあがって今に至っています。

UTF-8(Unicode)

UnicodeファミリーのUTF-8(UCS Transformation Format 8)文字符号化では、円マーク「¥」とバックスラッシュ「\」が区別されるようになりました。

Macでバックスラッシュを表示する

エディタの文字コードの設定や使っているフォントなどにもよりますが、 JISキーボードを接続したMacでは、¥キーを押すと、標準では半角「¥」が入力されますが、[Option]+「¥」で「\」が入力できます。

Kotoeri_backslash_setting

標準で「\」を入力できるようにしたい場合には、次の操作をします。

  1. [システム環境]/[言語とテキスト]の[入力ソース]タブから、「ことえり」をチェック
  2. メニューバーで、「ことえり」で([あ]ひらがな)としてから環境設定を選択してクリックし、右図のように「JISキーボードの¥キーで入力する文字」を「\」に選びます
  3. この設定は、他のフロントエンド漢字変換に引き継がれます。 たとえば、Arial、Consolas、Courier New、Times New Roman、Wingdingsなどです。

Windowsでバックスラッシュを表示する

MS明朝やMSゴシックなどでは、バックスラッシュ「\」を表示させるのは難しいようです。 利用しているソフトウエアで使用するフォントを他のものに交換するのはようでしょう。 Word 2010では、[オプション][詳細設定][互換性オプションの適用先]内に「レイアウトオプション」があり、「バックスラッシュを円記号 「¥」 に変換する」の項目にチェックを外します。