LaTeXの代表的構文と使い方

HTML文書Body要素内の代表的構文と使い方に対応している。

LaTeXでは、\begin{document}と\end{document}内を本文として、文書要素を指示・制御する目的で用意された各種のコマンドを正しく使って書くことが求められている。

LaTeXコマンドはタイプセットされて得られるPDFファイルの「文書構造」と「視覚的なレイアウト」(フォントのサイズや色など)を調節するために使われる。 LaTeXの世界では、文書スタイルを定めそれをどんなレイアウトとするかはパッケージを利用して拡張することができる。

LaTeXコマンドの使い方にエラーがあるとタイプセットが中断され、LaTeX構文上の誤りを正さねばならないのが悩ましい。

ここでは文書を構成するためにごく基本的なコマンドを紹介するにと留める。

見出しと目次

コンテンツに見出しを付けて分節化して、文書の構造を示唆するために見出しを積極的に活用する。 見出しは自動的に目次に使うことができるのがLaTeXの強力な点である。

ドキュメントクラス jsarticle を使う場合には、記号 { と } 内に文字列を入れてコマンドを次の階層レベルに従って使う。

  1. \section{...}
  2. \subsection{...}
  3. \subsubsection{...}

この順に見出しの階層レベルが設定されていて、タイプセットすると自動的に上位の見出し番号に支配された見出し番号が付く(\subsectionなら\section、\subsubsectionなら\subsectionに支配される)。

\section{..}で始めて、\subsection{..}を飛ばして\subsubsection{..}を書いてはいけない。 \section{..} が繰り返し現れ、各\section{..}に支配されるように\subsectionが繰り返し現れるというように書く。 つまり、目次の構成がおかしくなるように使うべきでないということだ。

\section{Level1の見出し}
....
....
\subsection{Level2の見出し}
....
....
\subsubsection{Level3の見出し}
....
....
\section{Level1の見出し}
\section{東京都の街}
....
\subsection{小平市}
....
\subsubsection{津田町}
...
\subsubsection{学園西町}
...
\subsection{三鷹市}
....
\section{埼玉県の街}
....

段落 \br(空行)

段落(パラグラフ)とは、幾つかの文が連なって(意味的に、内容的に)1つのまとまったグループをなしていることを表している様子である。 段落内の文は、そのまま一連なりになってグループを形成していると見なされる。

LaTeXでは、通常の文書のレイアウトのように、段落の始まりの文字は自動的に字下げ(1マス空ける)されて対応セットされる。 段落付けられた文書では、段落最後の文字(段落先頭の文字の直前文字)の「後」に段落改行されていると見なせばよい。

LaTeXでは段落の切れ目は空白行で表す( テキストエディタでは、2段落の最後の文字--たとえば句点「。」--の入力後に[enter]キーを2回続けて押す)か、またはコマンド \par を入力する。

空白行で段落の区切るとする場合には、空白行は何行でも構わない。 テキストとして見やすいように、自由に空白行をつかって、わかりやすいLaTeXファイルを作成することをお勧めする。
あいうえお
        ←ここが空白行
かきくけこ
今日は快晴である。
最高のスポーツ日和である。
                             ←ここが空白行
ところで、昨日新しいゲームが発表された。
あまりにも面白いので朝から夢中だ。\par
というわけで、勉強に身が入らない。
[タイプセット表示]
今日は快晴である。最高のスポーツ日和である。
  ところで、昨日新しいゲームが発表された。
あまりにも面白いので朝から夢中である。
  というわけで、勉強に身が入らない。

強制改行 \\ (\br)

文中のある文字のあとで、意味・内容とは無関係に無理やり改行してしまうことを強制改行といいい、LaTeXではコマンド \\(バックスラッシュ2回)または \br で表わす。 強制改行して改行した先頭文字の字下げは行われない。

段落改行は段落の切れ目という文章構造上の意味があり、改行して字下げなどを行わない強制改行とは意味合いが全くことなる。 その利用において、段落改行と強制改行とはは厳格に区別されるべきである。
汚れっちまった悲しみに\\
今日も小雪の降りかかる\\
汚れっちまった悲しみに\\
今日も風さえ吹きすぎる\\
[タイプセット表示]
汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

強制改行は、何故そこで強制改行すべきなのかを自覚して行うべきで、詩歌をような場合など限定的な用途に限ってつかう。

今日は快晴である。
最高のスポーツ\\
日和である。

ところで、昨日新しいゲームが発表された。
あまりにも面白いので朝から夢中だ。\par
というわけで、勉強に身が入らない。
[タイプセット表示]
今日は快晴である。最高のスポーツ
日和である。
  ところで、昨日新しいゲームが発表された。あまりにも
面白いので朝から夢中である。
  というわけで、勉強に身が入らない。

単純箇条書

箇条書きを書く場合には、単純箇条書であるべきなのか、順序付箇条書きべきであるのかを文意を捉えて適切に判断する必要がある。 単純箇条書で十分であるのに、順序付箇条書きを使って書くことは文書として誤りである。

以下の表示のように、料理の材料を箇条書きで並べる場合、その順番には『意味はなく』どのように並べても、文意が通る。 このように、箇条項目の順番に意味がないときには、単純箇条書(itemized List)を使う。

[書き方(1)]
しっとりチーズケーキを作る材料です。
クリームチーズ 250g 
生クリーム 200mL 
卵 2個 
グラニュー糖 80g
薄力粉 大さじ3
レモン汁 大さじ2

次の書き方(2)は書き方(1)の箇条項目順を入れ替えたものであるが、同じ意味である。

[書き方(2)]
しっとりチーズケーキを作る材料です。
卵 2個
グラニュー糖 80g
クリームチーズ 250g 
生クリーム 200mL 
レモン汁 大さじ2
薄力粉 大さじ3

単純箇条書は次のようにitemize環境を使って、 \begin{itemize}\end{itemize} で挟んだ上で、 各箇条項目を \item に続けて(さらに半角空白文字(または改行)に続けて)書く。 タイプセットすると、箇条項目が記号『・』などが付いてレイアウトされる。

しっとりチーズケーキを作る材料です。
\begin{itemize}
\item クリームチーズ 250g
\item 生クリーム 200mL
\item 卵 2個
\item グラニュー糖 80g
\item 薄力粉 大さじ3
\item レモン汁 大さじ2
\end{itemize}
[タイプセット表示]
しっとりチーズケーキを作る材料です。
  ・クリームチーズ 250g
  ・生クリーム 200mL
  ・卵 2個
  ・グラニュー糖 80g
  ・薄力粉 大さじ3
  ・レモン汁 大さじ2

列挙箇条書き

目的地までの経路を箇条書きとして並べる場合、その順番自体に『意味がある』。 順序を変えてしまうと、文意は破壊される。 このように、箇条項目の順番に意味があるときには、列挙箇条書(enumerated List)を使う。

[意味ある書き方] 鷹の台から東京駅に行く鉄道経路は
国分寺線 鷹の台から国分寺
中央線線 国分寺から吉祥寺
井の頭線 吉祥寺から渋谷
JR線 渋谷から東京
[無意味な書き方] 鷹の台から東京駅に行く鉄道経路は
中央線線 国分寺から吉祥寺
国分寺線 鷹の台から国分寺
JR線 渋谷から東京
井の頭線 吉祥寺から渋谷

列挙箇条書ではenumerate環境を使って、 \begin{enumerate}\end{enumerate} で挟んだ上で、 各箇条項目を \item に続けて(さらに半角空白文字(または改行)に続けて)書く。 下右のように、箇条項目には順序記号『(1), (2), (3)』などが付いてレイアウトされる。

鷹の台から東京駅に行く鉄道経路です。
\begin{enumerate}
\item 国分寺線 鷹の台から国分寺
\item 中央線線 国分寺から吉祥寺
\item 井の頭線 吉祥寺から渋谷
\item JR線 渋谷から東京
\end{enumerate}
[タイプセット表示]
鷹の台から東京駅に行く鉄道経路です。
  (1)国分寺線 鷹の台から国分寺
  (2)中央線線 国分寺から吉祥寺
  (3)井の頭線 吉祥寺から渋谷
  (4)JR線 渋谷から東京

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