MacOSへのTeXのインストール

MacOSへのTeXシステムのインストールには、TeXLiveをMac専用にしたMacTeXがある。 TUG(TeX User Group)ではMacOS用のTeXLiveとしてMacTeXを配布している。

MacTeXでは、TeX統合環境として TeXShop、スライドにLaTeX作成した数式を画像として貼りに重宝する LaTeXIt!などのアプリケーションも[アプリケーション]内フォルダ[TeX] に格納される(MacTeX のインストール参照)。 重要なのは「TeXShop.app」でインストール後にタイプセットのために設定が必要である。 「LaTeXIt!.app」も、TeXシステムに応じてパスの設定が必要だ。 TeX統合環境プログラムとして「TeXWorks.app」もインストールされるが、TeXShopがMacOSでは広く使われている。 「TeX Live Utility」はGUI アプリケーションで、TeXシステムのバイナリや代表的なパッケージなどをTeXシステムを最新にたもつことができたいへん便利だ。

TeXシステムをインストールしてから、そこで利用するアプリケーションのための設定がやたらに目に付くが、これはやむを得ない。 TeXシステムはキーボード入力で動作するコマンドベースのプログラムの集合体であり、その配布形態にはWindowsの場合と同じく様々なものがある(インストール先のファイル構成がそれぞれに異なる)。

TeXシステムで動作する多くのGUIアプリケーションは、TeXシステムの複雑なプロセスをボタン一つでの実行を可能にしているわけだが、そのためにはアプリケーションに、TeXシステムがどんなファイル構成でどのように利用するかを教える必要がある。 これがアプリケーションの「環境設定」である。 一度設定してやれば、その子細は忘れてしまって構わない (^^; 何か問題が起こったり、新たな設定を試みるときに調べ直せばよい。

MacTeX.pkgを入手

MacTeXのインストールには、ミラーサイトからパッケージMacTeX.pkgをダウンロードする。 jpサイトでできるだけ「近い」場所から取得しよう(ファイルサイズが2GBを越えるので、ネットワーク状況に依存した時間がかかる。筆者の環境では約15分程度かかった)。

MacTeX.pkgをダブルクリックしてインストールを始める。 MacTeX インストールの概略にその子細があるので、MacTeX のインストール"実際のインストール作業を始める前に目を通しておこう。 具体的なMacTeXのインストールを確認しておく。 [インストール]または[標準インストール]ボタンを押していくだけである。

texmf.cnfの編集

texmf.cnf への extractbb などの追加を参考に、タイプセット時に自動実行を許可するコマンドを texmf.cnf に追加する。 以下のように、

とくに、extractbb を書き加えて、画像を貼りつける命令を含んだソースファイルをタイプセットする際に、extractbb を実行して画像サイズを取得し記録した xbb ファイルを事前に作成すす作業が不要になり、自動実行されるのでたいへん便利である。

組み込みテキストエディタ nano を使って以下のように新たにファイルを作成(存在すれば追加編集)して texmf.cnf を整える。 以下でプロンプト $ は入力せずに、ルート権限で書き込むために sudo をつけて nano を起動する。

プロンプト $ は「ターミナル.spp」を起動すると現れる「キー入力入力待ち」の文字列を表している。
$ sudo nano /usr/local/texlive/texmf-local/web2c/texmf.cnf

次の内容をコピーしてエディタに貼り込む。

shell_escape_commands = \
bibtex,bibtex8,bibtexu,pbibtex,upbibtex,biber,\
kpsewhich,\
makeindex,mendex,texindy,\
mpost,pmpost,upmpost,\
repstopdf,epspdf,extractbb

conrol + o(^O)でWrite OUt(書き出す)。 その後に、次のコマンド mktexlsr を実行して、TeXシステム環境を再設定する。

sudo mktexlsr

TeXShopの設定

MacOSで最も安定して動作しているTeX統合環境である。 TeXShopを使ってタイプセットするためには、TeXShop/設定でTeXShopの環境設定を行う。

お手軽な設定

MacTeX(2013年度版すなわちTeXLive2013)に付属する ptex2pdf (Luaスクリプト)を使うやり方である。 以下で、その概要を紹介する。

TeXShopを起動して「環境設定」を表示して、以下の手順に従って設定した後に,TeXShopを終了して再起動すればよい。 TeXShop環境設定を参照。 各設定画面で[OK]を押していく。

  1. 書類で、 まず、『設定プロファイル』から、[pTeX (ptex2pdf)] を選択する。 「不可視文字」すべてのチェックを入れておこう。 また、「エンコーディング」は [Unicode (UTF-8)] とする。
  2. タイプセットでは、デフォルトのコマンドを [LaTeX] に、デフォルトのスクリプトを [TeX + DVI] とする。 Sync方式は [SyncTeX] である。
  3. 内部設定では、『ptex2pdfを使用する』の箇所にしたがう。 「パス指定」で、TeXは [/usr/texbin]、Distiller(Ghostscript)は [/usr/local/bin] である。 「TeX + dvips + distiller」(この設定は重要)では、デフォルト設定のままでも良いのだが、以下の方がベター(二重引用符 " と " とで囲むこと)。
    • TeXは [ptex2pdf -e -ot "-synctex=1 -file-line-error"]
    • LaTeXは [ptex2pdf -l -ot "-synctex=1 -file-line-error"]
    「pdfTeX」では
    • TeXは [pdftex -file-line-error -synctex=1]
    • LaTeXは [pdflatex -file-line-error -synctex=1]
  4. 「BibTeXエンジン」を[pbibtex]

TeXShopを終了して再起動すればよい。 設定を確認するには、環境設定では、今度は「設定プロファイル」は触らずに、各設定タブの内容を確認し、必要に応じて修正する(再起動で反映される)。