Beamerでプレゼンテーション
LaTeXファイルをタイプセットして得られるPDFファイルをスライドとするプレゼンテーション用のパッケージが各種公開されている。 ここでは現在世界中で広く使われている高機能なプレテーション用パッケージ Beamer を使う。 さらにA1番サイズが印刷可能なプリンタを使って発表ポスターを作成するパッケージも使ってみる。
パッケージ、テーマ Daito のインストール
beamer パッケージは最近の標準TeXシステムに付属している。 さらに、Daito 用のBeamerテーマ DaitoBeamer.zip およびDaito 用のBeamer Posterパッケージ DaitoPoster.zip を展開して、$TEXMFHOME/tex/ 内のどこかに置く。 利用しているパソコンで、$TEXMFHOME がどの場所として設定されるかはTEXMFHOMEの利用を参照。
また、しおり(目次)の文字化け防止パッケージ pxjahyper.sty も使う。 PXjahyperから(画面右下にある[Download ZIP]ボタンを押して)をダウンロードし、これを展開したフォルダ PXjahyper-master ごと、$TEXMFHOME/tex/ 内のどこかに置く。
サンプルファイル
- beamer_sample.zip Beamerサンプルファイル
- Daito_beamer_sample.zip テーマ Daito を使うBeamerサンプル
- Daito_poster_sample.zip テーマ Daito を使うBeamer Posterサンプル
Beamerの使い方
Beamerサンプルファイル beamer_sample.zip を展開する。 PDFファイルを開いて、Adobe Readerでなら[表示]/[フルスクリーンモード]で、MacOSのプレビューでなら[表示]/[スライドショー]または[フルスクリーンにする]でモニター画面全面にパージを表示し、カーソルキーでスライドを前後してプレゼンテーションを行う。
ソースファイルを検討してみよう。 プリアンブル(\begin{document}以前まで)は次のようになっている(実際のソース中 % でコメントアウトされた行は略した)。 一行目だけがBeamerを使うために必要である。 しかし、しおりの文字化け防止、スライドの日本語文字をゴシックに、画像を貼り込む、そして豊かな数式表現を行うために、Beamerを使う場合には原則的に最低限以下のように書くことにしよう。 また、タイトル行以下も通常のLaTeXと同じようになっている(子細はソースを検討する)。
\documentclass[dvipdfmx]{beamer} \usepackage{pxjahyper}%しおりの文字化けを防ぐ \renewcommand{\kanjifamilydefault}{\gtdefault}%日本語フォントをゴシックに \usepackage{graphicx}% 各種画像の張り込み \usepackage{amsmath,amssymb}%標準数式表現を拡大する %----------- ここからスライド内容 ---------------% \title[Slides with Beamer]{\LaTeX{}+Beamerでスライド作成} \subtitle{\LaTeX{}によるプレゼンテーション} \author[Umeko Daito]{津田梅子} \institute{津田塾大学} \date[June 12 2013]{2013年6月12日} \subject{\LaTeX{}+Beamer} \begin{document} .....
Beamerでは、各スライドの内容はframe環境内に記述される。
\begin{frame} .... frame環境内でスライドページ内容を記述する .... \end{frame}
サンプルでは本文 \begin{document}以降は次のようになっている。
\documentclass[dvipdfmx]{beamer} ....プリアンブル \begin{document} \begin{frame} \titlepage %\maketitleに替わるタイトル情報 \end{frame} \begin{frame}\frametitle{Agenda} \tableofcontents \end{frame} \section{はじめに} \begin{frame}{何を問題としているか} \begin{itemize} \item こんなこと \item あんなこと \item しかも\alert{そんなことまで} \end{itemize} \end{frame} ... ... \end{document}
スライドタイトルを記載するときは次の2つの方法がある。
- frame環境オプションとして、\begin{frame}{スライドタイトル}
- frame環境内に \frametitle{スライドタイトル} で記述する。
このサンプルでは、これら2通りのやり方は同じ結果になるが、利用するBeamerテーマによって、スライドタイトルのこの2つの方法は異なるレイアウトとなる。
アニメーション効果
Beamerで利用される主なアニメーション効果には2つの方法がある。 1つ目は、続く箇条書きアイテムを隠してキー入力ごとにアイテムを表示するための指定を次のようにプリアンブルに書く方法である。
...プリアンブル部 ...... \beamerdefaultoverlayspecification{<+->} % 箇条書きを段階的にみせたいとき \setbeamercovered{transparent} %隠してるアイテムを半透明で表示
2つ目は、frame環境内で以下のようにコマンド \pause をつかって、以降の表示をキー入力まで留めてしまう方法である。
\begin{frame}{さまざまなBlock}
\begin{block}{ブロック}
これがblock環境だ。
\end{block}
\begin{example}
これはexample blockである。
\end{example}
\pause
\begin{alertblock}{警告ブロック}
alert block環境ではこうなる。
\end{alertblock}
\end{frame}
これらはPDFファイルのページ内でアニメーション効果を実行しているのではなく、隠した(留めた)アイテムを表示しているページをあらかじめ生成していることで効果を演じさせているに過ぎない。
Beamerテーマの利用
Beamerには予め多くのテーマが用意されており、テーマを変えるだけで多様なカラーバリエーションのあるスライドを作成することができる。 サンプルファイルのコメントを外して次のように \usetheme をつかってテーマを選ぶことができる。 Frankfurt に換えて、AnnArbor, Antibes, Berlin, Berkeley, Bergen, Boadilla, boxes, Copenhagen 等を試してみよう。
\documentclass[dvipdfmx]{beamer}
\usepackage{pxjahyper}
\usetheme{Frankfurt} %Frankfurt,AnnArbor, Antibes, Berlin, Berkeley, Bergen, Boadilla, boxes, CambridgeUS, Copenhagen
%\beamerdefaultoverlayspecification{<+->}% 箇条書きを段階的にみせたいとき
%\setbeamercovered{transparent}%隠してるアイテムを半透明で表示
\renewcommand{\kanjifamilydefault}{\gtdefault}%日本語フォントをゴシックに
\usepackage{graphicx}% 各種画像の張り込み
%\usepackage[english]{babel}%多言語文書を作成する
\usepackage{amsmath,amssymb}%標準数式表現を拡大する
%----------- ここからスライド内容 ---------------%
....
....
DaitoのBeamerテーマ
Daito専用のBeamerテーマを作成してみた。 DaitoBeamer.zip を展開して、$TEXMFHOME/tex/ 内のどこかに置いておく。
Daito Beamerテーマをつかったサンプル Daito_beamer_sample.zip をタイプセットしてみよう。
DaitoのBeamer Posterテーマ
Daito専用のBeamerPosterテーマを作成してみた。 DaitoPoster.zip を展開して、$TEXMFHOME/tex/ 内のどこかに置く。
Daito Beamer Posterをつかったサンプル Daito_poster_sample.zip をタイプセットしてみよう。