ギャラリー解説蛟蛟

書画

黄虎洞手習い、陽刻自用印一顆(現代、AD2026、1、13)

縦横・5×2.4cm

晩唐の詩人韋莊の「秋日早行」の一句と、『詩經』唐風

蟋蟀の一句とを、金文出刻した「烏飛兔走日月其除」(

烏飛兔走、日月其れ除《さ》らん)である。月日があっと

言う間に過ぎ去って行く様子である。「烏」は「太陽」、「兔

」は「月」を表しており、秋日早行には、「行人自ら是れ

心は火の如く、兔走烏飛長きを覚えず」と有る。亦た『警

世通言』の「白娘子永鎮雷峰塔」にも、「覚らざりき、烏

飛兔走、纔に端午を過ぎ又是れ六月の初間」と有る。

一方蟋蟀には、「我樂まざれば日月其れ除らん」と有る

。特段何かをしている譯では無いが、七十を過ぎると時

間の經過の早さを實感し、朝起きてタバコを一服すると

もうお昼、昼寝から目覚めるともう夕飯、と言う様な感覚

である。


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