〜甘雨亭叢書〜

休題16

 『甘雨亭叢書』とは、安中藩主板倉勝明(1809〜1857)が、収集した書籍の中でも特に近世名家の写本類の散逸を恐れて、逐次出版したもので、当時の貴重な資料を多数含んでいる。その期間は、弘化2(1845)年から幕末(1867)にかけて行われており、内容は、正篇5集と別篇2集とからなり、正篇は近世儒者の漢文随筆で構成され、別篇1集は和歌や和文で構成され、別篇2集はその他10種8冊で構成されて、全部で56冊である。この叢書の伝本は極めて稀で、世上『甘雨亭叢書』として伝えられているものの殆どが、別篇2集を欠いた48冊本に過ぎず、叢書を集めて台湾から出版された『叢書集成』続編にも、48冊本が採取されていると言う状況で、『甘雨亭叢書』と言えば48冊本、と言う感なきにしも非ずであるが、本来は56冊本である。
 ここに提示する『甘雨亭叢書』は、正篇の「澹泊史論」(安積澹泊)・「格物余話」(貝原益軒)・「湘雲贊語」(祇園南海)と、別篇の「病中須佐美」(室鳩巣)の四種類である。

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