〜浄瑠璃本『本朝三國志』〜

雜言5

 浄瑠璃本とは、浄瑠璃を語るためのテキスト本である。その種類は、半葉が何行かに因って、五行本・七行本・九行本・十一行本などの正本が有り、更に訓の有無に因って、平仮名付き本・片仮名付き本・無訓本などが有る。更には、実際の上演時に使う本(書見台の上に置く、大版本)と練習時に使う本(直接床の上に置く、床本)とが有る。
 ここに提示する浄瑠璃本は、近松門左衛門が書き竹本筑後が演じた『本朝三国志』で、五段・七行本の平仮名付き本(節は漢字と片仮名)の床本(練習用)である。但し、初版は享保四年・1719の山本本であるが、本書は、谷村清兵衛が出した谷村本であれば、享保山本本の覆刊本である。

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