〜銅板經〜

雜言16

 銅板経とは、仏典を銅板に刻したもので、中国や日本にその遺物が残っているが、寡聞にして、仏典以外の経典を銅板に刻したものは、見受けられない。
 日本では、東京国立博物館や奈良国立博物館等に所蔵されており、豊後の長安寺出土法華経(1141年)や、埼玉の金剛院に有る陀羅尼経(1773年)等が有名である。
 尚、「銅板某某」と称する版本も有るが、それは銅板に文字を打ち出し、その裏側で印刷した版本のことで、所謂「銅板経」とは異なる。
 ここに提示する銅板経は、中国の民国時代の品と措定される仏典で、箱入りの縦17.5cm・横12.4cmで12枚綴りのもので、沙門果経の中の『寂志果経』である。尚、本品は刻字ではなく、薄い赤銅板に篆書で果経が打ち出されている。

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