〜重刊本〜

続編4

 木版本は材質の関係上、ある程度の数量を刷ると紙面の文字がかすれたりしてあまりはっきりとは見えなくなって来る。そこで以前に作られた旧版に基づいて、板木を作り直して刷ったものを重刊本と呼んでいる。そのため底本の書をそっくりそのまま版下に使う覆刻本とは異なり、場合に因っては旧版と文字の異動が生じたりするし、中には意図的に旧版の刻工名を削ったりもする。
 ここに提示するのは、嘉慶20年刊本の十三経注疏『書經』と、その重刊本である道光6年の『書經』とであるが、嘉慶刊本には有った刻字・印刷者の名前が、道光重刊本では削り取られ、代わりに道光重刊であることを示す刊記が入れられている。

[目次に戻る]