〜批點本と評注本〜

続編6

 版式の上部の空白部分や行間等に評語や注釈を施したものを、批點本あるいは評注本と呼んでいる。書面が煩雑な感を与えることは否めないが、それでも批評者が一人の時は、字体の大きさを変えさえすれば問題は無いが、それが三家評注とか五家評注とか多人数になって来ると、話はややこしくなって来る。それぞれの評者の違いを読者に一見して分からせるためにはどうしたら良いのか。則ち評者ごとに印刷の色を変えれば良いのである。その結果登場するのが、三色套印とか五色套印とか呼ばれる多色刷りの本である。
 ここに提示する本は、上段が光緒年間の『五家評注杜工部集』であり、下段が同治年間の『増訂批點四書讀本』である。

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