〜侠義小説〜

続編19

 中国では清朝末から民國初期にかけて多数の大衆小説が出版され、その代表的なものが侠義小説類と情人(才子佳人)小説類とである。これらは主に上海を中心として錦章書局や廣益書局・江東書局等から石印本で刊行されるが、たいがい巻頭に数枚の圖像(登場人物や話の場面)が付けられており、形態は各冊が薄くて小さく、大概縦が約22.2cm・横が約13.5cmぐらいのものが一般的である。まさに何処にでも持ち運べて、読み捨て使い捨てが可能な大衆小説らしい形式である。そのため、出版された量や年代(今に近い)のわりには、日常世界の娯楽用俗書であるため、思ったほど当時の原本は残っていない。
 ここに提示する侠義小説二点は、上のものが侠義ものの『七侠五義』であり、下のものが公案ものの『彭公案』である。

[目次に戻る]