〜情人小説〜

零話1

 中国で清朝末から民國初期にかけて出版される多数の大衆小説の状況に関しては、既に零話2で述べたが、ここでは情人小説を提示する。情人小説と言っても純粋に男女の恋愛関係だけを内容とした『青樓夢』とか『九尾亀』などだけを指す訳ではなく、女侠も活躍する才子佳人小説を含んだ、大きな意味での情人小説である。これが、侠義小説と並んで大衆小説を代表する娯楽本の一方の雄であったことは、他言を要しない。
ここに提示する二点の情人小説は、上のものが『花月痕』であり、下のものが『女才子』である。

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