〜内部発行本〜

零話5

 中国では、新中国成立前後から約30年間前後つまり民國30年代から60年代(1940〜1970)にかけて、国外に出すことが禁じられた書籍が存在した。内容が政治体制に拘わりが有ると言う訳では決してないが、何故か「内部発行」とか「内部発行非賣品」とか記され、中国に行かない限りは入手出来なかった。不思議なことに中国国内では、「非賣品」であっても買うことが可能であった。一体何如なる理由で「内部発行非賣品」なのか分からないが、いずれにしてもその様な本が存在していたことは事実であり、今でこそそれらの本も景印本となって自由に出版販売されてはいるが、過去においては確かに「内部発行」本であった。
 ここに提示する「内部発行非賣品」本は、民國37年(1948年)に長沙の韓組康が関羽に纏わる資料を編集した『関壮繆侯事迹』の線装排鉛本である。

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