〜竹 簡〜・大橋修一氏寄贈

零話10

 竹簡とは、文字を書き写す対象の材料として絹布や紙が使用され出す以前の材料であり、竹箆を薄く削ったものが竹簡であり、木箆を薄く削ったものが木牘である。その長さや幅は必ずしも一様ではなく、長い物・短い物・広い物・狭い物・厚い物・薄い物等々千差万別であるが、一般的にはほぼ長さは数十cm前後で幅も1cm前後である。近年考古学の発達に因り、中国各地から戦国秦漢時代の竹簡が多量に発見され、それに基づく学問研究も日進月歩の感が有る。
 この竹簡や木牘を鞣し革や麻糸で繋ぎ合わせて簀の子状にしたものが竹簡書或いは木牘書であり、古代書籍の一形態である。この綴じ糸の鞣し革が切れる程何回も易を読み返して勉強したと言う故事が、孔子の「韋編三絶」である。尚、日本では一般的に木簡と称しているが、これは「木牘竹簡」の略称である。
 ここに提示する竹簡は、約二十年弱前に当研究室にもたらされたもので、長さ19.5cm・幅0.3cm前後の、戦国末楚墓から発見された竹簡の断片と伝えられる、所謂「戦国楚簡」であるが、果たして本物や否や、博雅の士の指教を切に待つものである。尚、木牘に就いては、NO129を参照されたし。

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