〜諸葛亮集〜

零話11

 日本で『三国志』ブームが起きてから既に十年以上の歳月が流れている。そのブームの中心に位置するのが、言うまでも無く諸葛亮孔明であることは多言を要するまでも無いことであろう。中国に於ても既に宋代から彼の全集が編纂され、以後陸続として明代(四点)・清代(三点)と編纂され続け、現在では彼に関するあらゆる資料を網羅した『諸葛亮研究集成』が出版されるに至っている。この事は、未だに中国で諸葛亮が根強い人気を保っていることの証拠でもある。では日本では何如かと言えば、やはり江戸時代から彼に関するものが書かれ出し、以後の傾向は、現在書店に氾濫する『三国志』ものの書籍を一見すれば一目瞭然であろう。
 ここに提示する四点の諸葛亮集は、上段の右が光緒十年に趙承恩が編した『諸葛武侯全書』であり、左が同治十年に刊行された『四忠遺書』中の諸葛亮集(朱リン編)であり、下段は日本のもので右が文政十年に浅田寛が著した『諸葛孔明伝』であり、左が和刻本『諸葛丞相集』である。

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