〜尺牘用語集〜

零話15

 尺牘とは、所謂手紙のことである。現在ではともかく旧時に在っては、手紙は書き言葉であり、決して話し言葉ではない。書き言葉である以上、そこには独特な言い回しが有り、例えば、筆を止めることを「獲麟」と称し、母親のことを「萱堂」と称するが如きである。しかし、これらの言葉は時代の変遷と共に忘れ去られることが多く、それらの用語を集めて解説したものが、尺牘用語集である。
 ここに提示する尺牘用語集は、上段が光緒22年に刊行された唐芸洲の『寫信必讀』であり、下段が同治7年に掃葉山房が刊行した王徳寛の『臙脂牡丹』である。

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