〜金石類〜

零話19

  金石とは、銘文等を鋳込んだり彫り込んだりした金属や石のことで、具体的に言えば青銅器の鐘鼎や碑碣等を指し、それらの銘文等を集めて模写したり拓本を採ったりし、更にそれに解釈や分析を加えたりしたものが、所謂金石書(類)と呼ばれるものであり、例えば清の王昶が編纂した『金石萃編』や、馮雲鵬が殷代から元代までの金石図を掲げて考証を加えた『金石索』などが代表的なものである。これらの金石は、当然のことながら時代が下れば下るほど摩滅し破損してしまう。そのため、それらがまだ現存していた時に実際確認して集められた金石書が重要になってくるのである。
 ここに提示する金石書は共に清朝のものであるが、左側が鈍根老人こと四川の趙シンが編纂して李調元が校訂し嘉慶年間に刊行した『金石存』であり、右側が光緒28年に劉心源が編纂して刊行した『奇觚室吉金文述』である。

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