〜監 本〜

駄言8

  監本とは、隋朝以来の中央の大学である国子監で出版したものに対する呼称であり、それは五代時代に馮道が『九經』の版刻出版を国子監に行わせたのに始まるが、これが最初の監本であると同時に官刻本の最初でもある。以後宋・元・明と監本は作られてはいるが、現存する量の多さから現在では一般的に、監本と言えば明の国子監本を指すようになる。明は最初南京に国子監が置かれていたが、永樂帝の遷都以後は北京にも国子監が置かれ、以後南京国子監が出版する本を南監本と呼び、北京国子監が出版する本を北監本と呼ぶようになる。尚、書籍の封面や巻頭書名に麗々しく「監本」と冠している書物を多々見かけるが、中には正真正銘の監本も無い訳ではないが、その大半は書肆の「売らんかな」に基づく本の誇称に過ぎない。
 ここに提示する監本は、まさに書肆の「売らんかな」に基づく同治2年重刊の『宋本較正監本尚書』であるが、左側が封面部分であり右側が巻一部分である。

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