〜風流(青楼)本〜

駄言12

  風流(青楼)本とは、書誌学に依拠した学術用語などでは決してない。単に筆者の興味に基づき遊郭や妓女に関係した書籍を、一括して勝手に風流(青楼)本と呼んで他書と分類しているのに過ぎないのであり、極めて私的な呼称である。しかしながら、風流が男女の関係を指し、青楼が遊郭を指すことは他言を要せず、「男女異なると雖も、愛慾は則ち同じ」とか「百年の夫婦有れども、一世の情人無し」とかを見ると、まさに柳堤花街のやり取りには、人生の悲哀を感じさせる何かが有る。「古人謂、男以命断情、女以情断命」、「予以爲、男以有銭断女、女以無銭断男」。
 ここに提示する風流(青楼)本は、左側が民國3年石印本の『青楼韻語』で、右側が光緒4年排鉛本艷史叢鈔中の『板橋雑記』であり、中央が鉛印和刻本明治刷りの『肉布団』である。

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