〜醫學書(醫書)〜

閑話9

 醫學書(醫書)とは、言うまでも無く医学に関する書籍であることは明白であるが、今と異なり版本時代に在っては、内科・外科・産婦人科・小児科・眼科など具体的な医術に関するものは言うに及ばず、鍼灸・養生・投薬、更には医学史・医学に関する随筆等々、その範囲は可成り広義である。そのため医学に関する書籍は、内科に属する『黄帝素問』や薬学に関する『本草綱目』を初めとして、漢の張機述『傷寒論』・元の滑濤撰『難經』・明のキョウ廷賢撰『萬病回春』など、数多く書き残されている。
 ここに提示する醫學書(醫書)は、左側が外科に属する清の陳士鐸撰『洞天奥旨』の乾隆五十五年刊本であり、右側が内科に属する宋の劉温舒撰『素問入式運氣論奥』の寛永二十一年版和刻本である。

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