〜十子全書〜

閑話11

 何種類かの書籍を集めて一つの名称で括る叢書は、宋代から作られ出すが、その中でも諸子を集めたものは明代に盛んに作られ出す。例えば、萬暦年間に周子義等が輯めた『子彙』(24種)や萬暦六年の謝汝韶輯『二十子家書』・萬暦十一年の顧春輯『六子書』等がそれである。この傾向は清代に至っても変わらず、清末光緒年間の浙江書局刊『二十二子』や崇文書局刊『百子全書』は、その代表的なものであるが、清の中期に在って、姑蘇の王氏と言われている王子興が嘉慶九年(1804)に聚文堂で刊行したのが、『十子全書』である。その内容は、『老子』『荘子』『荀子』『列子』『管子』『韓非子』『淮南子』『法言』『中説』『カツ冠子』の十書である。この中で、明人の註を伴うものは、『老子(帰有光、批閲)』と『管子(劉積、増注)』と『カツ冠子(王宇、評)』の三書、清人の註を伴うものは、『荀子(廬文昭、校)』の一書で、他の六書は漢から唐・宋に至る間の人の所謂古注が付せられている。この本は、既に嘉慶末から道光年間にかけて覆刊本が出されており、光緒年間に至ると浙江書局の重刊本や寶慶經綸堂重刊本が出されている。

 ここに提示する「十子全書」本(嘉慶甲子重鐫本)は、共に明人の註を伴っている『老子』と『管子』とである。尚、上段が明末の花齋蔵版に依拠した『管子』で、下段が河上公本『老子』である。

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