〜経折本〜

閑話16

 経折本とは、巻子本に於ける巻中・巻末部分などの文字検索の不便(最初から全て開いて行かねばならない)を解消すべく、巻物を初めから同じ大きさに折り畳み、その前後に表紙を付けた装訂の本のことで、この様な装訂を帖装と呼び、この帖装仕立ての本を経折本或いは帖装本・折子本などと呼んでいる。この形式の本は、中国では既に唐代から出現し、宋代の仏教経典などに多く使用されているが、日本では法帖仕立てと称して、主に石碑の拓本やその模刻を切り張りして、この形式に作り上げている。
 ここに提示する経折本は、北魏時代の墓誌銘三種の拓本を切り張りして法帖仕立てにしたものであるが、装訂の状況は明らかに民国以降のものであり、拓本自体も微妙に止め・払い等の筆勢が原拓と異なり、明らかに模刻拓であるが、原拓の風情は良く伝えている。

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