〜原刻・覆刻・影印〜
休題1
版本として、その内容や校訂の優れたものが作られると、以後それを原刻本としてそれを被せて版木を起こした覆刻本が陸続として作られ、更に現代では、写真技術に基づく原本そっくりな影印本が作られることになる。影印本は元来原刻本から起こすのが普通ではあるが、しかし、原刻本が既に消失していたり或いは極めて入手困難な状況に在る場合は、萬やむを得ず字面の美しい覆刻本から起こすことになる。所が、この傾向が進むと、原刻本探索の時間と面倒さを嫌い、畢竟流通の多い手軽な覆刻本からいきなり影印本を作るようになり出すのである。 |
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ここに提示するのは、上段が嘉慶十九年の題襟館本『華陽国志』の原刻本で、下段は一見原刻本に依拠した清末の志古堂版覆刻本(版式・内容は全く同じであるが、文字の線幅が原刻に比べて覆刻の方がやや細い)のように見受けられるが、実は1957年に四川人民出版社が志古堂本を印行した、覆刻本の影印本である。 |
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