〜日用類書〜

休題2

 日用類書とは、実際の日常生活に関する諸々の事柄を集めた類書のことであり、宋・元あたりから作られ出すが、庶民の間で一種の生活百科全書として或いは諸般に渉る日常生活手引き書として、一世を風靡して流行し出すのは、明末から清朝にかけてである。それらの書籍は「萬用正宗」とか「不求人」とか「萬寶全書」とか称されているが、それは各本の固有名詞つまり各本独自の書名ではなく、日用類書を表す一種の普通名詞である。因ってその内容は、人々の日常生活に関する占い・日選び・病気・地理・衣服・天文等々、森羅万象諸般全般に渉って記載されている。
 ここに提示するのは、清朝の嘉慶九年に刊行された圖付きの「繪圖萬寶全書」である。上段はその封面であり、下段が具体的な内容である。下段を一見して分かる如く、一葉が上下二段に分かれ、それぞれ異なった内容が記されている。例えば、上層が天文祥異で下層が太極圖説とか、上層が胎教捷法で下層が十月胎生とか言う具合である。

[目次に戻る]