〜甲(獸)骨文字〜

休題4

 甲骨文字とは、亀の甲羅(腹部)や動物の骨に彫られた古代文字のことであるが、獣骨に彫られている文字が全て甲骨文字と言うわけではない。例え獣骨に彫られていても、所謂「甲骨文字」と認定されている字態の文字でなければ、獣骨に彫られたただの文字に過ぎず、それは象牙等によく今の文字が彫られた工芸品として存在する。因って、例え紙に書かれていても「甲骨文字」と認定された文字字態であれば、文字自体は甲骨文字と称しても問題無いが、文物としては所詮写された甲骨文字に過ぎず、やはり文物自体としての甲骨文字は、古代の獣骨に彫られた「甲骨文字」と認定された文字字態を、基本的に甲(獸)骨文字と称すべきであろう。
 ここに提示するのは、河南省洛陽郊外から出土したと言われているもので、中国の鄭州で入手されたものであり、獣骨も文字の彫りも一見り古く、所謂いかがわしい倣品土産品等とは若干異なるが、裏にも文字が刻まれているのが、甚だ疑わしい。骨は牛の骨でやや古そうであるが、文字は新たに彫り込んで古色を付けたように見える。要するに、手の込んだ贋物であろう。

[目次に戻る]