〜《 漢 學 を 學 ぶ 若 人 へ 》〜

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【漢文&舊漢字の世界へようこそ】

律己秋霜,交人春風・律己在我,處己在人

黄虎洞 伯泉齋

《恭禧恭禧、同學各位、恭禧登第》

はてさて、【漢學・中國學】とは一體何でありましょうや。狭義に解釋すれば、漢字で書かれた文獻所謂漢籍を讀解する漢問と言えますが、廣義に解釋すれば、漢字文化に關わる現象(建築・庭園・行事・風習・娯樂、等)等々をも理解する學問であると言えるでしょう。

漢字で書かれた文章は、何も中國だけに限ったものでは有りません。日本も朝鮮もベトナムも有ります。中國の漢籍を一般的に【中國版本】と呼びますが、日本の漢籍は【和刻本】、朝鮮の漢籍は【朝鮮本】、ベトナムの漢籍は【越南本】と呼びます。亦た建築・行事等の漢字文化現象は、東南アジアや日本にも多く見られます。

要するに、中國に於ける漢籍・發掘物・文化現象、及び日本に於ける漢文・漢字文化現象等々、漢字及び漢字文化に關する全ゆる問題を研究對象とするのが、漢學だと言えます。

『日本書紀』を例に出すまでも無く、古來より日本でも多くの漢詩文が作られており、古代の金石文(「藥師佛造像記」「那須國造碑」、等)、平安朝の日本最古の漢詩集『懐風藻』や勅撰三集(『凌雲集』『文華秀麗集』『経国集』)、日本の國史に當る『六國史』(『日本書紀』『續日本紀』『日本後紀』、等)、中世五山文化に於ける詩文(『花上集』『北斗集』、等)や抄物(『論語抄』『史記抄』、等)、近世江戸儒者の漢詩文集(『日本詩選』『日本詩紀』、等)や漢文讀み本(『兩巴巵言』『唐詩笑』、等)、近代明治以降の漢詩文集(『中洲詩稿』『甕江文鈔』、等)等々であり、更に、平安時代の私塾學校(勸學院・弘文院・綜藝種智院、等)、中世の足利學校、近世の各藩校・私塾(昌平坂學問所・米澤の興譲館・水戸の弘道館・備前の閑谷學校・肥後の時習館・京の古義堂・浪速の懐コ堂、等)等々で教授していた主要な學問内容は、漢學であります。

故に、戰前の人々は、一定の教養さえ持っていれば専門家でなくても、政治家であれ官僚であれ、財界人であれマスコミ人であれ、軍人でさえあっても、請われれば漢詩や氣の利いた漢語が、揮毫出來たのです。廼ち近江奈良朝時代から戰前までの日本人の教養を支え續けたのは、漢學に基づく知識が其の基礎を形成していた、と言えます。因って漢學は、日本人に於ける知の寶庫、教養の苗床とも言えるのです。

つまり、漢學を學ぶと言うことは、單に中國の古典世界を理解するのみならず、我々日本人の精神的・文化的有り様をも學ぶことであり、更に其こから、己自身の自後の生き方をも照射して考える。要するに、漢籍を讀解すると言う一見極めて地味な具體的作業を通して、更に、精神的・哲理的・思索的世界をも想像し、物事の筋目・筋道を見極め、自分自身の生きる道・人として歩む可き道を探求し、究極として自己を創造てみると言う、【壯大な自己研鑽の學問】だとも言えるでしょう。

しかしまあ、小難しい話は暫く横に置き、何はともあれ先ずは漢學を樂しむ事(樂學)・遊ぶ事(遊學)から始めましょう。

其の漢學のメインである秦旦・中國を學ぶ樂しみ・遊ぶ樂しみ、をたっぷり味わいましょう。漢文を讀むと、故事の意味・事柄の本質・物の真贋などが、一見良く分かったような氣になります。(本當に分かったか、單なる氣持ちだけかは、孰れ分かります)

其こで、漢籍や文物・歴史・書畫・文化の好きな人、どっぷりと中國學的世界に浸りましょう。頭の先から足の爪先まで、漢學色・中國學色に染まったら、諸君もそこそこの漢學通・中國學通、さあ、古書肆・骨董鋪を駆け巡り、

 《何是真實、何是虚僞、何是真品、何是贋品》

何が正しく、何が本物か、見極めるのは貴方自身です。貴方自身の目を耳を、そして頭脳を感性を研ぎ澄まして下さい。

學問では、先ず何事にも疑いの目を向け、己が納得出來るまで疑い續けることが重要です。例え教員の言葉でも、疑って、疑って、疑ってかかる所から、學問の第一歩が始まるのです。

《提疑是學問的母也、分析是學問的父也》

でも單に人から教わる勉彊ばかりして、己自身が何の想像性・何の創造性も持たないと、全くつまらない大學生活になります。因って良く遊ぶことが重要です。遊び心の無い人は、幅の有る學問が出來なくなる可能性が生じます。漢學・中國學は境目の無いボーダレスな良い加減さが重要です。

故に諸君は、良い加減な感性を持ちながら真面目に遊び且つ真面目に學問を致しましょう。真面目な感性と反發心だけで、不真面目に遊び且つ勉彊した結果、とても詰まらない大學生活を送った、私自身の真面目な反省に立った、諸君へのメッセージです。

自今以后、倶與游於中國之學海!》

さあ、漢籍(經書・史書・諸子・詩文・小説・随筆等々)を讀みまくり、文物(古陶磁・青銅器・書畫・玉器等々)のお寳を弄くり回し、孔子廟や道觀を探し歩き、中國的行事や文化を堪能し、ワイヤーロープアクションとCGを駆使した武俠映畫や武俠テレビを看まくって、中國の人々とお友達になりましょう。

【思想】なら、孔子・孟子・老子・荘子・荀子・韓非子・孫子・呉子・公孫龍子・陸賈・賈誼・董仲舒・劉向・王充・馬融・許慎・楊雄・鄭玄・仲長統・王肅・王弼・郭象・皇侃・陸コ明・顔師古・孔潁達・周敦頤・朱子・王陽明・李贄・王弘撰・黄宗羲・顧炎武・全祖望・阮元・康有爲・張之洞・譚嗣同・魏源・梁啓超・章炳麟・劉師培・胡適、等々。

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歴史上の人であろうが今の人でろうが、有名人であろうが無名人であろうが、興味が湧いたなら誰とでも、則ち其の人は貴方のお友達です。

それが嫌なら吉川英治氏・北方謙三氏・宮城谷昌光氏の小説だって、諸星大二郎氏・篁なつき氏の漫畫だって、藤崎版の『封神演義』だって、將亦た『天の華・地の風』『蒼天航路』『SWEET三國志』『ストップザ劉備くん』だって、更に又た周セン・鄭麗君・王菲・張恵妹の歌だって、上海夜鶯のコミックユニットだって、何だってかまいません。

漢學・中國學とは、雜學的百科學でもあります。其の雜學的な中に、精緻な専家學が有るのです。古典的中國の人々は、思想的著作を著すと同時に詩文を書き連ね、公的には高位高官の官僚であっても、私的には大地主であったり高利貸しであったりと、二足の草鞋どころか四足・五足の草鞋を履いているのが普通です。つまり、我々が對象とする人々は、極めて多面性・多様性を持った人達なのです。であれば當然我々も、多様性・多面性の思考と知識で對應せざるを得ないのです。

さあ、そこで何でも有りの漢學・中國學・シノロジーと言う玩具箱をこじ開けて、好き勝手にぐるぐる掻き回し、目一杯漢學・中國學を樂しみましょう。何でも有りの混沌的世界こそが、【Han Xue World】・【Chinology World】の真骨頂なのです。

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五十年近く漢學を講じる立場には居りますが、敢えて言えば、漢文を讀むよりも中國文物を鑑賞し、中國的行事に參加し、武俠映畫やドラマを觀る方が、遙かに面白く樂しい行爲です。其の樂しい時間を、より樂しく且つ面白くし有意義に過ごす爲に、基礎的作業である漢文を讀み知識を増や續けているのです。

〜Old Costume Action MoviesDrama〜

スクリーンなら鄭少秋・ブラウン管なら黄日華

哀愁と色香漂ふずら役者

《我是鄭少秋黄日華的迷》

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【令和元年(平成31年)度擔當授業科目、8コマ】*印は大學院用

 

中國史學特別演習U(ゼミ、『宋史、本紀』讀解研究)・・・四年生、板橋校舎、月1限

中國史學講義1(『廿二史箚記』三國志・晉書部分讀解)・・・四年生、板橋校舎、水1限

中國史學講讀2(『史通』内篇部分讀解)・・・四年生、板橋校舎、木3限

中國哲學講讀3(『山志』讀解)・・・三年生、板橋校舎、水2限

中國文化特別研究1(中國武侠小説と映像)・・・三年生、板橋校舎、木2限

卒論指導・・・四年生、板橋校舎研究室、金1限

*中國史學演習1(『蛾術編』讀解)・・・大學院博士課程前・後期、板橋校舎、土1限

*文化史特殊研究(『藝文類聚』讀解)・・・大學院博士課程前、板橋校舎、月2限

 

★個人的勉彊會★

令和元年(平成31年)度東洋研究所研究會】

『藝文類聚』訓譯研究・・・東洋研(毎月第三土曜午後2時〜6時)

令和元年(平成31年)度讀書會(自由參加)】

ガイ餘叢考(清初・趙翼)・・・板研(毎週木曜午後6時〜9時)、1・2年生參加者大募集中

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