テロの定義
法学部 法律学科 3年 廣井正子
第1章テロの定義は、難しい
(1)テロリズムとは何か?
(2)テロをうみだす根源的な要因
(3)テロの両義性 a
犯罪かテロか?
bテロリストか自由の戦士か?
c抵抗の手段か権力の濫用か?
(4)何のために定義するのか?
第2章EUによるテロ行為の定義
(1)9.11以降のEUの対応と反テロ対策
(2)EUの「テロ行為の定義」に非難の声
(3)資料1(EU加盟国の弁護士達が署名した要望書)
第3章国連の国際テロ防止条約
(1)9.11テロからの国連の動き
(2)10月1日からのテロ集中討議での各国の意見
(3)インド提案 包括的テロ防止条約案
(4)資料2(国際テロを廃絶する措置に関する宣言)
終わりに
ニューヨークのマンハッタンにそびえる世界貿易センタービル、世界最強の軍事力の中心であるワシントンのペンタゴン(米国防総省の通称)という世界の政治・経済を動かしてきた中枢が破壊され、文明の象徴でもあった高層ビルがもろくも崩壊した情景は、瞬時に世界中に伝えられ、多くの人々に驚愕と同時に、現代社会を支配する文明や高度技術の弱さ、空虚感をもあたえた。この事件はすでに下降局面にあったアメリカ経済を直撃した。株価の急激な下落だけでなく、直接の影響をうける観光・輸送関係から大量の解雇が始まり、景気後退の予想から製造業分野でも大量解雇が広がった。その余波は世界経済に深刻
な影響を与えた。日本でも日経平均株価がついに1万円割り込んだ。テロ事件直後、アメリカ政府は直ちにこれを「新しい戦争」と命名した。そしてアメリカは、独自の個別的自衛権を主張し、NATO(北大西洋条約機構)諸国とともに、アルカイーダとオサマ・ビン・ラディンを保護しているタリバンの排除のためにアフガニスタンを空爆し、侵攻した。
また2003年イラクが大量破壊兵器を保持しているという理由からイラクでの空爆が始まり、終結宣言を出された後でも、テロによる被害がたえない。ついには、日本人外交官までもが襲撃されるテロがおこった。すでにテロは人事ではなくなってきている。
この事態に対して、国連でも、昨秋開かれた国連総会の包括テロ防止条約作業部会を設置した。しかし、結局、テロの定義で一致できず、条約は完成しなかった。冷戦時代には、ある国にとって「テロ」であっても、別の国からみれば「自由や解放を求める戦い」というのが、きまりきったパターンだった。いまでも、そうした「テロの二重性」とも呼ぶべき状況が、政治だけではなく宗教や社会問題での立場の違いをめぐっておきている。また、21世紀になってコンピュータを使った「サイバーテロ」という新しい形のテロがでてきている。これらのテロについて理解するためには、テロを定義することが一番大切である。そして、現代社会の病理現象であるテロの本質とそれをうみだす背景を十分に理解した上で、テロを消滅させるために包括的な対策を考えていく必要がある。
(1)テロリズムとは何か?
テロリズムとは、一般に「政府または革命団体が、第三者に恐怖状態を作り出すために、暴力を使用しまたはその威嚇を組織的・集団的に行い、ある政治目的を達成する手段」を意味している。この言葉の語源は、フランス革命時のジャコバン独裁下の恐怖政治にあるといわれている。権力者が暴力またはその威嚇により、恐怖状態を現出させ、自らの政治目的を達成するということは、洋の東西を問わず、古くから行われてきたことであったといえる。フランス革命の場合には、それまで抑圧されてきた民衆が権力を掌握し、恐怖を統治手段として、以前の専制君主ら支配階級(王党派)を弾圧・虐殺したことから、「テロリズム」という新たな言葉が用いられるようになった。テロリズムを犯罪として位置づけ、国際的な協力体制によってこれを撲滅しようとする取り組みは古くから行われてきたが、具体的にいかなる行為をテロと定義づけるのかという問題については現在も議論がある。同時多発テロ事件の後に開催された国連総会では、かねてから策定が進められてきた「包括的テロ防止条約」案についての議論が行われましたが、ここでもパレスチナ人勢力による反イスラエル闘争は、外国支配からの民族解放闘争であるとしてテロとは、別物であるとするアラブ諸国・イスラム諸国と欧米諸国との間で激しい論争があった。同時多発テロ事件をきっかけに、反政府勢力をテロ組織と断じて、「反テロ国際戦線」の下でその撲滅を企図する国(政府)が少なからず見られるが、ひとたび立場が変われば、こうした政府こそが「国家テロ」の首謀者に移ることもありえるわけで、問題は単純ではない。また現在、大統領や政治的リーダーとなっている者、たとえば南アフリカのマンデラ前大統領や東ティモールのシャナナ・グスマンも、以前の体制(マンデラ元大統領の場合は白人政権、グスマンの場合はインドネシアのスハルト政権)からはテロリストとして扱われていたのである。したがって安易に「反政府武装集団」のように定義すれば、イスラエル政府と自治をめぐって対立するパレスチナの「反政府」諸派もまたテロリストとして国際社会から否定されかねない。これは、国連で包括的なテロ防止条約がとうぎされて最初にぶつかった壁である。
(2)テロをうみだす根源的な要因
テロを熱とすると、その熱の病因がある。その病因を治療し排除しなければ、テロは解決することはできない。中東のテロに関して言えば、1970年代からは、その過半が何らかの形でパレスチナ和平の問題と関係がある。テロをうみだす背景としては、第一に絶対的な貧困、第二に極端な民族・地域差別、第三にそこからうまれる「絶望」がある。そして最後にこのような絶望的な状況に対する国際社会の「無視」があり、これこそがテロをうみだす引き金になる。しかし、人は単に貧困や差別だけで暴力的なテロに走るわけではなく、若者はそういう苦境から脱出するために希望と夢をもって学び働く。しかし、それらが今生きている社会では永遠に実現できないと知った時、社会に絶望し攻撃的になるのである。そして、そのような絶望感は決して難民キャンプにいる若者だけでなく、そうしたかれらの苦しみをしり、共感する感受性の強い湾岸の裕福な子弟にも広がっている。ついには、自分たちの苦境を無視している人々や世界に絶望し、世界はこの苦境をしるべきだとしてテロを発動することになる。
(3)テロの両義性
a 犯罪かテロか?
テロの定義が難しい理由に一つに、テロの目的に対する価値判断の困難さにある。テロという行為は見かけ上、窃盗、強盗、誘拐、占拠、乗っ取り、脅迫、傷害、殺人、破壊、拷問などの一般犯罪と同じである。テロが一般犯罪と区別されるのはその目的にある。一般犯罪では多くの場合その目的は、金品の強奪、復讐、欲望の達成など私的目的であるが、、多くの場合、テロの目的は政敵の排除、政権の維持、政権の転覆、民族解放、政治宣伝のような公的、政治的目的である。したがってテロを定義するときは、その目的を考慮せずに定義することはできない。しかし、目的に対する判断や目的に対するテロ行為という手段の正当性に対する判断が、判断する主体の価値観によってさまざまに異なるので、テロを定義するのは難しいのである。目的に対する判断で問題になるのは、私的目的か政治的目的かの区別がいつも判然としているわけではないという事である。例えば同時多発テロ事件の直後に起こった炭疽菌テロ事件である。当初はアメリカ政府を狙ったアルカイーダの仕業だと思われていたが、その後の捜査で個人の犯罪との疑いが強くなった。ただ犯人が目的を明らかにしない限り、私的動機に基づく犯罪なのか政治的目的をもったテロなのかは判然としない。結局、犯人の意図と関わりなく、第三者が目的をどのように解釈するかが、テロか犯罪かを決める事になる。また、一般犯罪でも社会秩序が混乱してるときは略奪、強盗、殺人なども政治化しテロとなりうる。
b テロリストか自由の戦士か?
たとえ明確に政治的目的をもったテロでも、その政治的目的に対する判断が異なる為に、テロとみなすかどうかが政治的議論の対象となる事がある。その典型が国連総会で常に論議の的となるパレスチナ問題である。パレスチナ人の反イスラエル・テロ闘争の目的を民族解放と見るアラブ諸国やイスラム諸国は、占領地からのパレスチナ民族解放を正当な目的として支持している。民族解放という目的は手段としてのテロ行為を正当化し、パレスチナ解放を目的とするテロ行為はテロではなく正当な民族解放闘争であるとみなす。一方。欧米をはじめ多くの国は、反イスラエル・テロ闘争の目的がはたしてパレスチナ民族解放なのか、あるいはイスラム原理主義者が主張するように全ユダヤ人をパレスチナから追放することにあるのか、まず目的に対する判断がアラブ、イスラム諸国とは異なっている。テロを判断する主体の価値観が異なるために、同じテロ行為についても「ある者にとっての自由の戦士は、ある者にとってはテロリスト」である。
c 抵抗の手段か権力の濫用か?
テロの解釈が真っ向から対立するのは、民族解放闘争の問題だけではない。民族解放闘争を含めてより幅広い政治の文脈においてテロに対する解釈が異なり、万人を納得させるような定義が見出せない。支配者側、体制側、現状肯定側の立場に立てば、被支配者側、反体制側、現状打破側が国家に抵抗する手段として行使するテロ行為は、秩序を否定し、体制を打倒する犯罪行為以外の何物でもない。逆に後者の立場に立てば、秩序維持、体制維持の名の下に前者が行うテロ行為は、国家による抑圧、弾圧という国家テロ以外の何物でもない。多くの場合、被支配者側のテロは被抑圧者に残された最後の手段から除外すべきであり、一方、国家によるテロは権力の濫用として国家テロ以外の何物でもない。
(4)何のために定義するのか?
テロの定義が難しいのは、テロに対する価値判断が避けて通れないからある。具体的には、第1に最も根本的な問題として、定義をする目的が多様なために統一した定義ができない。第二に、テロの目的に対する価値判断がさまざまなために普遍的な定義ができない。第3に、政治目的達成の手段としてテロが有効なためにテロを利用したいとの思惑が定義を難しくしている。同時多発テロの直後の国連総会でテロの定義ができなかったのは、結局これらの問題が障害になっていたからである。テロの定義では、何のために定義するのかが1番重要な問題である。そもそもテロを定義しようとする目的がすでにテロに対する一つの価値判断を含んでしまうために、万人を納得させるようなテロの定義が難しくなる。たとえば、自分の関心に基づいてテロを定義しても、実務関係者がテロの定義をするときは、また異なってくる。例えば、米国務省の場合、冷戦時代には米ソ冷戦における対米テロをいかに防止しソ連の影響力を排除するかという問題意識をもってテロを定義した。このように定義する目的に関して、主体の価値判断が働き、結局普遍的な定義ができなくなる。研究者は自らの専攻分野、関心領域にしたがってテロを定義づけようとし、法律、政治、国際政治、心理、社会など専攻分野によってテロに対する関心の持ち方が異なるために、すべての分野の研究者を納得させる定義ができない。また、各国の治安担当機関がテロを定義する場合には、いかにテロを防ぎ、取り締まるかという視点からテロを定義するため、取締りが容易になるように、テロの定義は幅広くなる。そして外交関係者がテロを定義しようとすると、自国の利益に合致するようテロを狭く定義する。
(1)9.11以降のEUの対応と反テロ対策
EUも、9.11テロ攻撃直後、NATO同様に、米国との政治的な連帯を表明した。NATOの対応が注目されたのとは対照的に超国家機構であるEUの最初の対応は世間から注目をされなかった。国際社会が注目したのは、EUの主要メンバー国の首脳であるブレアやシラクの発言である。しかし組織としてのEUは、テロ攻撃直後、EUがテロとの戦いに関して、多国間の協力体制の上に立脚した共通の政策を策定可能であり、グローバルに対処しうる最適の機関である事を証明しようとした。EUは、司法・内務・運輸・通信・経済・財務(ECOFIN)の各理事会にテロ対策に関する適切な措置を準備するように指示し、その過程で、EUは、欧州各国のテロ対策に関する法の欠如と調和の必要性を認識した。テロ行為という犯罪に対して特殊な規定を設けているのは、英、仏、独、伊、西、葡の6ヶ国のみであった。そこで、EUは、共通のテロ行為の定義とテロ行為に関する量刑の策定にとりかかった
(2)EUの「テロ行為の定義」に非難の声
欧州連合EU が、テロリズムの定義を設ける提言を行ったが、これに対してほぼすべてのEU加盟国の200名を超える弁護士達から非難の声があがっている。テロとして捉えられる行為が広範囲に及んでおり、労働者のストライキやグローバリゼーションへの反対運動もテロに含まれてしまう可能性があるというのが理由である。彼等は欧州議会とEU加盟国政府にこの提言を採択しないように要望書(末尾に収録)を提出した。
EUの提言では、テロリズムを「1国または複数の国、そしてその機関や国民に対し、それらを威嚇し、国家の政治、経済、社会の構造を深刻に変容させる、あるいは破壊する目的をもって、個人または集団が故意にはたらく攻撃的行為」と定義している。
提言が採択されれば、EU加盟国にとっては、この定義を自国の法律に組み込む義務が生じる。加盟国のうち6カ国ですでに、テロ対策に関わる特別法が制定されており、今回提起されているテロの定義のもとで、法の適用範囲が劇的に拡大される可能性もあると懸念する声があがっている。各国内の公安に関わる問題であるため、この提言は「フレームワーク・ディシジョン」と呼ばれ、欧州議会による承認を必要としない。ワシントンDCの電子プライバシー情報センターの(EPIC)の調査員は、米国でも同様の懸念が高まっている。ヨーロッパにおける市民的自由を巡る議論は、米国でのそれと似ているが、状況は完全に同じだとは言えないと、言っている。ロンドンの市民的権利の擁護団体『ステートウォッチ』が発表した報告書の中で、現在稼動しているEU加盟国間で捜査当局が保有している情報を共有するためにシステムであるシェンゲン情報システム(SIS)を拡大して、「抗議活動を行う疑いのある人物」も含める可能性がある」と警告している。また、「標的となる人物は、SIS上で『要注意人物』のレッテルをはられ、抗議活動やイベントが行われている国への入国を拒否されるようになる」と報告書は記している。ステートウォッチによるとこの問題はEUでまだ承認はされていないという。」
(3)資料1(EU加盟国の弁護士達が署名した要望書)
弁護士の要望書は、この規定が採択されれば、民主主義のもとで権利の根幹を揺るがすものとなる。また経済的価値を基本に据えた政治及び社会システムに立ち向かう人々にとっても真の脅威となる。社会システムはますますグローバル化し、不公平さを増していると、要望書は警告している。要望書の起草に携わったブリュッセルの弁護士であるジャン・フェルモン氏は、「提起された内容の大半はテロとは関係ないのに、EUは、9月11日の事件を利用して非難を受けずに規定を発効しようとしている。最も懸念されるのは、テロ行為の定義がとても広いため、あらゆる種類の合法的な抗議活動までもがその対象に含められてしまうことだ。たとえば組合運動や、反グローバリゼーション運動など、すべてが犯罪行為とみなされるおそれがある。」と述べている。またフェルモン氏はEU加盟国の政府が、国内の抗議活動家も視野にいれてテロ対策のための法律を運用する意図を持っているとは考えていない。しかし、法律が制定されれば思いがけない事態を招くのではないかと懸念を抱いている。その例としてフェルモン氏は、今年、イェーティボリでの暴動の件で、抗議活動家がマフィア対策法に基づいて起訴されたことを例に挙げて「このような論理がまかり通るようになると、公平な裁判とは言えない。あらゆる種類の特別な規則が制定されてしまう」と懸念している。
(1)9.11テロからの国連の動き
9月11日 アメリカで発生した同時多発テロ発生。80カ国以上、5000人以上が死亡、行方不明に。
9月12日 国連安全保障理事会 テロ非難決議を採択(安保理決議1368)
9月27日 アナン事務総長アフガン難民救援のために各国に総額700億円の拠出を要請
9月28日 国連安全保障理事会 テロ対策のため幅広い措置を取ることを決議
10月1日 国連総会 テロ集中討議開始。150カ国以上が演壇に。
10月4日 日本が「難民救援費の20%(約140億円)を拠出」と発表。
(2)10月1日からのテロ集中討議での各国の意見
自国内でもテロに苦しむペルー代表は、自国の痛苦の体験に照らし「テロは麻薬や狂言と結びついた複雑な現象だ。」と指摘。「テロは軍事的手段では克服できない」と訴えた。インドネシア代表は「性急な決定に警戒すべきだ。」と発言。ブラジル代表は、武力行使などの「強制措置は国連憲章と国際法に導かれるべきだ。」と主張した。
これに対しスウェーデン代表は、「民間人の犠牲を防ぐべきだ。」としながらテロ対策での各国の個別的・集団的自衛権の行使を認めると発言した。しかし、双方を両立させる具体策はしめさなかった。
国連総会討論は、米国などが国連の明確な承認なしに実施しようとしている同時テロへの武力報復をめぐる意見の対立も明らかとなった。対テロ武力行使の舞台とされる中東や発展途上国からは、武力報復反対や慎重論が続出した。また、今後新たなテロを懸念する欧州諸国などは、ほぼ「米国の自衛権行使容認」「武力行使支持の立場」である。テロ問題で集団自衛権行使を決めた北大西洋条約機構(NATO)加盟国のほか、中立国のアイルランドやスウェーデンも、この立場に同調した。
(3)インド提案 包括的テロ防止条約案
インドが提案したテロ防止条約案は、「身体、経済に害を与えることを目的とした公共機関などを破壊する行為」を包括的に禁止するものである。インド代表は3日、今回のようなテロは現在の条約では対処しきれないとして、同条約案の検討を考えた。このインド提案の討論の中で争点となったのは、「テロとは何か」の定義である。この条約提案のきっかけとなったのは、97年にエジプトのルクソールで日本人10人を含む観光客ら62人が殺された事件である。この事件には、イスラム原理主義過激派グループのウサマ・ビンラディン氏の関与も取りざたされた。また同条約案は「軍隊適用除外条項」を含み、正規軍による行為をテロの定義からはずしている。現実的な問題としては、独立国家樹立を求めるパレスチナ人民のたたかいがテロ行為と見なされかねないため、外国による占領に反対し自決権樹立を目指す権利の擁護を改めて明確にするよう中東諸国などが要求した。安全保障理事会が9月28日に採択したテロ対策決議1373についても、テロ根絶の名目で各国の内政不干渉の「壁」を取り払う動きを容認する可能性があるとして、一部の途上国から懸念が表明された。
(4)資料2(国際テロを廃絶する措置に関する宣言)
決議1269(1999)
1999年10月19日の安全保障理事会第4053回会合によって採択
安全保障理事会は、
全世界の個人の生命と安寧、および、すべての国々の平和と安全を危険にさらす国際テロ行為の増大を深く憂慮し、
犯行の動機、場所および犯人に関わらず、すべてのテロ行為を非難し、
「国際テロを廃絶する措置に関する宣言」を採択した1994年12月9日の決議49/60を含め、すべての関連する総会決議に留意し、
国内レベルでテロ対策を強化するとともに、国連の傘下において、国連憲章の原則、および、国際人道法と人権の尊重を含む国際法の規範に基づき、この分野での実効的国際協力を強化する必要性を強調し、
現行の国際テロ防止条約への普遍的な参加とその実施を促進し、テロの脅威に対処するための新たな国際手段の開発を図る努力を支援し、
国連総会、関連の国連機関と専門機関、および、地域その他の機関が国際テロに対処するために行っている作業を賞賛し、
国連憲章に従い、あらゆる形態のテロと闘う努力に貢献することを決意し、
国家が関与するものを含め、国際テロ行為の取締りは、国際の平和と安全の維持に不可欠な貢献であることを再確認し、
1. その動機に関係なく、すべての形態と示威行動において、犯行の場所と犯人に関わらず、国際の平和と安全を脅かしかねないものをはじめとする、あらゆるテロの行為、方法および実践を、正当化できない犯罪として断固として非難する。
2. すべての国々に対し、自らが締約国となっている国際テロ防止条約を完全に履行することを求め、すべての国々に対し、自らが締約国となっていない国際テロ防止条約への加入を優先課題として検討するよう促し、また、審議中の条約の速やかな採択も促す。
3. テロ対策に関する国際協力を強化する上で国連が果たす不可欠な役割を重視し、国家、国際機関および地域機関の調整強化の重要性を強調する。
4. すべての国々に対し、とりわけ、かかる協力と調整の関連において、以下のための適切なステップを踏むことを求める。
−特に二国間・多国間の合意と取り決めを通じ、テロ行為の防止と取り締まりを図り、自国民およびその他の人々をテロ攻撃から守り、かかる行為の犯人を裁くため、相互に協力すること
−自国の領域内において、すべての合法的手段を用い、あらゆるテロ行為の実行と資金調達を防止し、取り締まること
−テロ行為の計画者、資金調達者あるいは実行者の逮捕と訴追あるいは国外引渡しを図ることにより、これらの者をかくまうことを拒否すること
−亡命者がテロ行為に加担していないことを確認するため、難民の地位を認定する前に、人権の国際基準を含め、国内法と国際法の関連規定に従い、適切な措置を講じること
−テロ行為の実行を防止するため、国際法と国内法に従って情報を交換するとともに、行政および司法事項に関する協力を行うこと
5. 事務総長に対し、国際テロを廃絶する措置に関する総会決議50/53によって提出されるものをはじめ、総会への報告において、テロ活動の結果としての国際の平和と安全に対する脅威を防止し、これと闘う必要性に特に留意するよう要請する。
6. 上記5.で触れた報告書の関連条項を検討するとともに、国際の平和と安全に対するテロの脅威に対処するため、国連憲章によるその責任に従い、必要なステップを踏む用意を表明する。
7. この問題の審議を続けることを決定する
各国によって、テロに対する考え方が違うためにテロを定義するのは非常に難しい。今でもまとまった定義は実現していない。しかしアメリカでおこった同時多発テロから、世界各地で起きている紛争やテロを、どこか他所の問題ではなく、自分たちが生きている同じ場の問題と考え、それゆえに国連や超大国や政府だけでなく、世界の市民が連帯して行動して解決し予防指定校という運動が広がりを見せている。そして世界的な平和のためにもまとまった定義が必要とされている。
DEMOCRATIC RIGHTS MUST NOT BECOME THE
COLATERAL DAMAGE CAUSED BY THE WAR AGAINST TERRORISM
The
European Commission had prepared a framework decision concerning the struggle
against terrorism the aim of which is to streamline legislation of the member
states regarding not just sanctions imposed but equally concerning the very
definition of terrorism.
The project is
presented as a reaction on the attacks on New York and Washington. However the
perpetrators of such acts would not go unpunished in any European country given
the current legislative provisions of those countries.
In fact the
legislative provisions of the States of the European Union provide the most
sever sanctions for those who participate in whatever way in such acts of
terrorism. That is equally true in those member states who have provides for
specific antiterrorist legal measures in the past and for those who have no
such specific legislation.
The new legislation
proposed by the Commission's framework decision adds nothing to the legal
armoury which is already in place to combat activity of this nature. Further
the definition proposed is so wide that it permits the criminalising of all
forms of social struggle which can now be defined as terrorism.
"The
unauthorised capture of infrastructure with a view to seriously attacking
social or economic structures". The scope of this definition would enable
any occupation of a public place or any factory to qualify as a terrorist act.
"Disruption of supplies of water, electricity, air or any essential
natural resource" would render any protest by the employees of such
facilities an act of terrorism. Further the incitement to commit this type of
offence by any organisation would result in that organisation being defined as
a terrorist organisation.
Freedom of
association, the right to strike and freedom of expression are all seriously
threatened by this framework decision. It is couched in the language of
"war against terrorism". In reality this antiterrorist legislation
once imposed will become a real war machine against fundamental democratic
rights and against those who come up against a political and social system with
its basis in economics, a system increasingly global and unjust.
We the undersigned
call on those guardians of democratic rights to oppose this framework decision
of the Commission, a decision which is binding on member states.
We demand that
those in authority in Europe and their representatives in the European
parliament prevent the coming into force of this project which will see the
demise of liberty.
Antoine Comte, Lawyer in Paris
Ties Prakken, Lawyer in Amsterdam
Jan Fermon, Lawyer in Brussels"
首藤信彦 現代のテロリズム 岩波書店
宮坂直史 国際テロリズム論 芦書房
田久保忠衛 平松茂雄 テロの時代と新世界秩序 時事通信社 斉藤元秀
加藤朗 テロ−現代暴力論 中公新書
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/200110/03-17.html
http://www.unic/or.jp/centre/dlun/txt_data/dlun25.txt
http://hwj.corecolors.com/news/news/culture/story/20011205204.html