現在、私達の生活の中でギャンブルが存在している。このギャンブルは、私達に興奮や快感を与えてくれる娯楽として存在している。しかし、最近ではこれをきっかけに様々な問題が起きているのである。例えばギャンブルにより多額のお金を使い切っても、金融会社からまたお金を借り、そして使い切ってはまた借りるという悪循環を繰り返してしまい、最終的には自己破産するといった金融関連の問題が起こっている。またはお金欲しさにコンビニに強盗・殺人などの事件も起こっている。他にも家庭崩壊や借金を苦に自殺をするなどの事件など,あげたらきりがないほど起こっている。 このような人たちは、ギャンブル依存症に陥っている。このようにギャンブル依存症は人生を大きく狂わせる原因になる精神的で身近な病気であると思う。ここで疑問に思ったことは、ギャンブル依存症になっている人たちは、本来は楽しみながらギャンブルをしていたと思う。ではなぜそのような人たちが、この病気になってしまうのか。 これから、なぜギャンブル依存症になってしまうのかということについて、様々な面から調べていこうと思う。
ギャンブル依存症を調べる前に、まず、ギャンブルとは何かということについて調べた方が、理解しやすいと思う。
まず、簡単に説明するのであれば、ギャンブルとは金品や品物を賭けて偶然性が高いポイントを占める勝負を行い、その勝負の結果で物品のやりとりを行うことである。ちなみにギャンブルには様々な呼称が存在している。例えば博打がいい例である。博打の語源は、博と呼ばれるボードゲームがあり、そこにお金を投げ打つところからきている。他にも賭博があるが、これは賭事と博技を掛け合わせて作った言葉である。賭事は一般的には技術などが絡まない運という要素のみで行うものである。反対に博技はどのようなものかというと、運はもちろん、そこに技術の要素が含まれるものを指している。そして現在の日本では、多種多様な数多くのギャンブルが存在している。
現在の日本では様々なギャンブルが存在しているが、これを大まかに分類すると、まずは公営ギャンブルが出てくる。これはどのようなものかというと、地方自治体などによって運営されているものを指している。公営ギャンブルは2つに分類することができる。一つは公営競技である。これはどのようなものかというと、競馬・競艇・競輪・オートレースなどがそうである。このような公営競技は投票券があり、その券に自分の予想する順位を書き、的中したらその掛け金や倍率により、賞金が配分されるという仕組みになっている。ちなみに掛け金は百円から掛けられる。そしてこれらのギャンブルにも競馬法・自転車競技法・モーターボート法・小型自動車競技法といった、競技それぞれすべてに対応する法律が存在している。 もう一つは公営くじである。これは簡単に言ってしまえば、宝くじやロト6などがそれに分類される。この公営くじは、宝くじとスポーツ振興くじに分類できる。先に述べた宝くじ・ロト6といったくじが公営くじの部類に属する。Totoはというとスポーツ振興くじに属する。ちなみに国内で外国の宝くじを購入すると刑法に触れる可能性がある(根拠法規、判例を明らかにする)。 以上が公営で行われているギャンブルである。ではパチンコやスロット・麻雀などはどこに分類されるのであろうか。私営という分類に入ると考えられる。パチンコは現在、一定の間の確率変動により、大当たり率が10倍近くに跳ね上がるシステムを導入した。これにより、通常時の大当たり率を低くしているため、ハイリスク・ハイリターンの時代にあるといえる。スロットは、以前は4号機という世代であり、一回の大当たりから何十万も稼ぎ出すこともできたが、その反対に一日で多額の負債を抱え込むこともある。その意味では、パチンコよりも圧倒的なハイリスク・ハイリターンであった。しかし、法律改正がなされたために現在では5号機という部類のスロットを中心とした勝ちにくく負けにくいといったローリスク・ローリターンの時代であるといえる。
ギャンブルによって引き起こされる問題も数多存在している。一つは闇金融とのつながりがあげられる。ギャンブルによりお金がなくなり、闇金融に手を出し、利子などにより負債は増える一方で、払いきれずに、ついには自殺や自己破産をしてしまうといったケースである。もう一つは犯罪件数の増加である。ギャンブルに没頭し過ぎて、お金の欲しさのあまりに万引き・強盗・殺人と至るといった問題である。さらに,犯罪に至らない問題として、家庭崩壊に陥るケースも挙げられるであろう。 このようにギャンブルによって様々な数多くの問題が引き起こされている。そしてこれらの問題を引きおこした人々に共通する点がある。それはギャンブル依存症に陥っているという点である。この依存症は、解決が困難な大きい問題であると思う。ちなみに2004年の日本のギャンブ総人口はギャンブル依存症カウンセリングによると約2000万人である 。その内訳は、愛好家が80%、依存予備軍は17%、依存症は3%である。だが3%といっても人口実数で表わすならば60万人もいることになる。ギャンブルに関する社会問題の早期解決を目指すのであれば、この依存症を解決することが先決ではないかと考える。
ギャンブル依存症について少し詳しく調べていこうと思う。
ギャンブル依存症とは、ギャンブルにのめり込むことにより、快感を得られ、不快な気分から逃れることができ、さらにはそれが習慣化するうちに、自分をコントロールすることができない状態に陥ることである。専門的な言葉を交えて説明するのであれば、ギャンブルなどで当てた時、脳内物質であるドーパミンが発生し、それにより体が快感を得る。そしてまたその快感を味わおうとギャンブルに没頭する。そしてそれを繰り返すうちに習慣化され、ドーパミンにより欲求を我慢しきれなくなり依存してしまうのである。ちなみにギャンブル依存症は進行性の病気であり習慣および衝動の障害の項目に分類され鬱病などと同じような精神的な病気の一つとして認識されている。例えばパチンコで何十万も稼いだとする。いわゆるビギナーズラックである。これを機に,最初のうちは,週に1回などとコントロールしていたが、二回、三回と増えていき最終的には赤字の場合が多い。そして最初の何十万円は消えてしまい、友人や知人にまでお金を借りて行くようになる。そしてついには闇金融や犯罪に手を染めるといった事につながっていってしまうのである。家族にまで迷惑がかかり、中には本人ではなく、他の家族が精神的なものからくる頭痛・不眠症・ウツ病にかかることもある。 症状としてはまずは借金から始まる。借金を返済することができると、安心してまた借りるというサイクルが生まれる。次に嘘を普通に言い出すようになる。これは誰かから嘘をついてお金を借りることが日常的になるからである。次は一時的に止まる。これは友人や知人たちがお金を貸さないように、その人を疑い始めるからである。次に自分自身のコントーロール喪失に陥る。ここまでくるとギャンブルだけではなく、情緒不安定や暴力・アルコール依存などにまでに広がってしまうのである。さらに進むと、真面目に仕事し、その後夜遅くまでギャンブルに没頭、そしてまた仕事というサイクルにより健康が破壊され、そのために鬱になったり、すぐに怒りやすくなったりと精神的にも病んでいく。ついには暴力をふるったり,家の通帳などをもちだし是が非でもお金を手に入れようとする。そしてついには殺人や強盗に手を染めてしまうのである。 ちなみにギャンブル依存症になりやすい人の性格を挙げると、ストレスを感じやすい、常に刺激を求める、依存気質、社会で自己表現がうまくできない、他人とのコミュニケーションが取れていないといった性格・気質が挙げられる。 ギャンブル依存症は治療が困難な病気でもある。現在の代表的な治療方法はカウンセリングである。他にもそのような支援団体が活動していて、様々な人たちが今日も一刻も早期治療できるように日本各地で活動している。そのうちの代表的な団体はGAと呼ばれるギャンブラーズアノニマスである。
ギャンブル依存症には、要因がいくつかある。第一に,個人的な要因が挙げられる。これは、勝負事などにイライラして、勝つまではお金を投資し続ける、すぐにカッとしてしまう性格、限度を知らないで他人にまで迷惑をかけてまでしてしまうような自己中心的な性格といった個人的な要因である。第二には社会的な要因がある。これは現実の社会から様々な嫌がらせなどを受け、ストレスが溜まる。そしてそれが原因となり、ストレス発散の場所をギャンブルに求めることから始まる。最終的にはギャンブルをストレス発散のバトすることが習慣化してしまう。第三の要因としては、現在のギャンブルのシステム、いわゆるシステム要因が挙げられる。これは、現在のギャンブルがあまりにも射幸心を煽るようなシステムになっているということである。その顕著な例として、私たちの最も身近にあるものといえば、パチンコやスロットである。現在のパチンコ・スロットは昔よりも格段に進化していて、機械自らが出玉率を調整するようになっている。特にスロットは、パチンコよりも千円当たりの回転数がよく、効率よくスムーズに回せるため、1日で多額の金銭を得ることもあれば、逆に多額の負債を抱えることになる。スロットは、機種によって異なるが、第1段階から第6段階までの設定がプログラミングされている。例えば設定1であれば店側に利益が得られるようなプログラムが組み込まれている。反対に設定6では打ち手側に利益が出るようにプログラムされているのである。したがって設定6を掴めば勝ちはほぼ確定しており、設定1を掴むとほぼ負けるということになる。打ち手側としては設定6を求めて打つのであるが、そう簡単には見つからない。ましてや何も知らない人が打つならば、負けてしまうことは確実である。このような一種の宝探し、そしてその後に待ち受ける展開が打ち手の射幸心をあおる原因である。
これまでギャンブルとは何か、ギャンブル依存症とはどのような病気であるのかということを調べてきた。この節では、実際にギャンブル依存症が原因で起きてしまった事件をあげていこうと思う。 まず、広島銀行強盗未遂事件から見ていく。これは、岡山市内の銀行に年齢62歳、無職の佐々木稔被告がプラスチックの棒を持ち、それをカウンターに叩きつけたりなどしながら「金をよこせ」と現金を要求しているところを、警察官に逮捕されたという事件である。佐々木被告は金銭をパチンコなどのギャンブルに使い果たしたため、犯行に及んでしまったのである。しかも以前から、同様の理由で恐喝事件を起こしているのである。これはギャンブル依存症が引き起こしてしまった典型的な事件例であるといえる。この事件によって,佐々木被告は懲役4年6か月を言い渡されている。 次に、実母らが「パチンコ代お願い」と言って、子どもにひったくりをさせた事件を見ていく。この事件が発覚したきっかけは、警察が長男と家にたむろしていた少年ら8人を交番襲撃やバイクを盗んだとして、逮捕したことである。長男の供述により、実母の言動が発覚したのである。実母とその友人が少年達にそのような要求をしたのである。この2人は大のパチンコ好きで、「軍資金をお願い」と頼んで、子どもたちにひったくらせたバッグなどを質に入れ、さらには、正月用のおせち料理の材料など計30万円の食材を万引きさせていたのである。他にも親自身がお手本を見せないといけない言い出し、バッグをひったくろうとしたが未遂に終わったという余罪も疑われている。これは自分自身だけではなく、家族までに被害を及ぼした事件例である。 第三に、千葉県山武市郡の母親死体遺棄事件について触れてみる。この事件は、平成18年9月に、60歳の北下清次被告が山武森に殺害した実の母親を遺棄したという事件である。北下被告はギャンブルが好きで、パチンコを中心に毎日のように行っていた。そして平成18年8月、84歳の母親に生活態度を注意されたことに腹を立て暴行を加えた。その結果母親は寝たきりの生活状態にさせられたのである。その後も北下被告はギャンブルに明け暮れていたのであるが、母親に「パチンコに行くなら私を殺してから行け」と言われてしまった。北下被告は母親の年金を自由に使いたいと思い、母親の口と鼻を塞いで窒息死させ、山武市の森に遺棄したのである。ちなみに北下被告は、懲役14年の実刑判決を言い渡されている。 これまで事件例として3件の例をあげたが、これらはギャンブル依存症患者の行く末の実例である。1つ目の事件はギャンブルにより金銭を使い果たし強盗をおこなう、2つ目の事件は家族にまで迷惑をかけてしまっている、3つ目は自分の自己中心的な性格・理由により殺人を犯すに至っている。他にも様々な事件例があるが、あえてこれらの事件を挙げた理由は、まさにどの事例も,ギャンブル依存症という病気が原因で起きているからである。他方では,このような事件を起こすまで至らないように,ギャンブル依存症にかかっている人たちが集まって、この恐るべき依存症を克服しようと努力している。
前節でも述べたが、ギャンブル依存症にかかっている人たちが集まって、克服しようと話し合っている。この章では、このような人達の活動や、実際にどのようにこの依存症に対して戦っているのか、国や地域自治体はどのような対応をしているのかということについて調べていこうと思う。
まず最初にギャンブル依存症への対応として挙げられるのは、支援団体であろう。なぜならば、ほとんどの支援団体は、相談料が無料ということから、金銭的な問題が少ない。なによりも他のメンバーもギャンブル依存症患者であったり、またはそれを克服した人達で構成されており、親近感がわくということから参加しやすいと考えるからである。 これは『産経新聞』に載っていた記事であるが「ギャンブル依存症」支援広がる、1人で悩まないで」というものである。内容は夫のギャンブル依存症で悩みを抱えていた女性に、心理カウンセラーが同じ依存症患者の家族会を持ちかけたことがきっかけである。それ以降は月に1回のペースで会を開き、そこでお互いの悩みの相談をしているのである。このような支援意識の高まりを受けて、県が援助体制の模索をしている。その大まかな再生プログラムとしては、家族が患者から一定の距離をおいて、患者本人を自立をさせていくことを考えている。このような試みは,徐々にではあるが、自分たちだけではなく、県なども動きだしているのである。 数ある支援団体の中でも最も全国的に活動している団体が、GA(ギャンブラーズアノニマス)日本インフォメーションセンターである。この組織は世界規模で活動しており、はじめは海外で立ち上げられた組織で、日本には1989年11月5日に第1回のミーティングが開催され、そこから全国的に広まっていったのである。この団体での活動内容は、前述したような依存症患者同士によるミーティングをメインに活動している。他にもパソコンのホームページなどで、依存症に関する書籍などを無料で配布したり、自分の依存症チェック表などがある。このような活動を見ると,この病気に積極的に立ち向かう姿勢が見られる。
次にギャンブル依存症への対応として挙げられるものは、カウンセラーである。ギャンブル依存症という病気は生活習慣などの問題だけではなく、個人のメッセージであるケースが多い。なにより、これは精神的な問題であるため、カウンセラーと2人3脚で治療していく患者も多く存在する。しかし、カウンセリングを受けたからといって確実に治るわけではない。あくまで,カウンセラーは,補助という形で手助けをしているだけであって、最終的には自分自身が解決していかないといけないのである。だが、依存症にかかっているといっても、一律ではなくかなりの個人差がある。それを的確に解決する大きな助けがカウンセリングという手段なのである。 ここでカウンセリングの長所と短所を調べていこうと思う。長所としてはまず個人の自主性・尊厳が重んじられているという点が挙げられる。他にも精神的なダメージが少ない、個人が望むゴールへの援助が可能、心理的な問題を解決しやすい、これまでの実績・経験が利用できる、科学的アプローチが可能、カウンセラーとの信頼関係により心を癒す効果が得られるなどといった点がある。反対に短所は、指導的ではないため拘束力が弱い、回復・克服までには時間がかかる、生理的な問題に対応しにくい、そしてなにより支援団体と違って無料ではなく、料金が高いという点がある。さらに、カウンセリングを受けたからといってそれがただちに解決になると勘違いする人が多くいるという点も短所の1つである。カウンセリングは万能ではなく個人の積極性が大きく依存するものである。その点を理解しないと意味がないからである。 そうでるからといってカウンセリングを否定しているわけではない。むしろ多くの依存症患者に利用してもらいたいものである。支援団体だけではどうしても不可能な部分が出てくる。そうであるから、支援団体では不可能な部分を、カウンセリングに求めて早期克服を目指すのが最善ではないのかと考える。
現在の日本の行政府は、地域レベルではギャンブル依存症に対して本格的に解決方法を模索しているところもあるが、国レベルだと法律改正がメインであると思う。最近の法改正案としてはスロットに関する法律が挙げられる。なぜ競馬や競艇などではなく、スロットの法律が改正されたのかという点を考えるのであれば、やはり一番私たちの身近に存在しているからという点が大きいのではないのかと考える。競馬や競艇などは広大な面積の土地と莫大な資金が必要であるから、開設している数はパチンコ店と比べると天と地ほどの差がある。競馬は週末のみの営業であるのに対して、パチンコ店は毎日のように営業している。そのため、客の数も段違いである。このように、多くの人にとって、身近で手軽なギャンブルといえば、パチンコ・スロットである。ちなみにパチンコではなくスロットに関する法律の方が改正された理由としては、前述した通り,スロットの方が回転率がよく、そのシステムも1日に数10万稼ぎだしたりもすれば、反対に数10万を失ってしまうハイリスク・ハイリターンのシステムであった。これが、あまりにも射幸心をあおる仕様になっていたことも事実である。 ちなみにこの法律は全部で11項目も改正されている。実際に最大の改正点のみを見てみる。それは,ストック機能の禁止である。今までのスロットは、ボーナスを溜めて一気に放出するというストック機能があったが、これを禁止し、1回のボーナスで得られる獲得枚数の変更、出玉率の全体的な引き下げをした。これにより、今までのハイリスク・ハイリターンからローリスク・ローリターンになったのである。この法律改正は、新しい依存症患者が発生することを抑止する効果を大いに期待できると考える。なお、打ち手側としては今までのハイリスク・ハイリターンを求める声がある一方、逆にローリスク・ローリターンでいいという声もあり,賛否両論は現在でも絶えない。
第4章では、なぜギャンブルに依存してしまうのであろうかという点について様々な視点から調べていこうと思う。
ギャンブル業界と一言でいっても、多種多様な様々なギャンブル業界が存在している。例えば競馬業界、競艇業界、カジノ業界など言い出せばきりがないほど出てくる。そしてこのギャンブル業界でトップの客数を誇るのがパチンコ・スロット業界である。ちなみにこの業界は全ての業種の中で,第3位という市場を持っているほどである。つまり、顧客数が断然多いのである。このことから、パチンコ・スロット業界から多くのギャンブル依存症患者が輩出されているのではないのかと考える。 ギャンブル依存症は昔から存在していたが、さまざまな場面で論じられるようになったのは、ここ最近ではないのかと思われる。この点から考えられることは、昔と現在では何かが違っているということである。その何かというのは、高度なシステムが導入され,ハイテクの液晶画面に幻惑されて,演出がうまくなってきたからである。そうなると、打ち手は,当たるまで打ち続けるのである。パチンコを例で挙げて説明してみようと思う。昔のパチンコ台は指で玉を弾いて、チャッカーと呼ばれる釘に囲まれた穴に入れると玉が何倍かになって返ってくるというシンプルなものであった。そして現在とは違い、莫大な金銭をかけないで、手軽に遊べる娯楽であった。しかし現在のパチンコはチャッカーに入れるのは昔よりは簡単にはなったがそれでも難しく、それから当たりかはずれかを350分の1や400分の1くらいの割合で抽選する仕組みになっていて、そう簡単には当たらないものになっている。しかし、パチンコ図鑑によると一度当たると60〜67%の確率で抽選確率が35分の1や40分の1くらいにまで引き下げられ、なおかつ玉が減らないシステム、確率変動システムに突入することにより、一気に出玉を増加させるのである。その抽選に当たるまでの過程を演出する液晶画面が、常に打ち手を熱く刺激するのである。さらに、より一層パチンコに親しみやすいようにと、アニメキャラクターやドラマ、芸能人などを起用した機種を製作しているのである。このようなことから客が増え、液晶画面の演出などによりギャンブルをしているのではなく、一種のゲーム感覚で打ってしまうような麻痺感覚に陥ってしまっているのではないか、と思われる。入り口は,ゲームをやりたいがために敷居が非常に低い。ゲーム感覚でお金を使う。お金が無くなると誰かに借りる。そしてまた打ちだすといった悪循環が生まれ、ついには依存症に陥ってしまうのである。またゲーム感覚ではなくても、確率変動システムに射倖心をあおられ、ついついパチンコに没頭し、いつの間にか依存症になる、というケースも考えられる。 以上のことから、依存症の原因として,パチンコ業界が、客の心をつかんで離さないような液晶画面を演出することによって、打ち手がゲーム感覚になってしまうこと、確率変動などのシステムによって客の射幸心をあおることの2点が考えられる。
まずギャンブルをするのに絶対欠くことができないものがある。それはお金である。そのお金に一番関係している業界が金融業界である。そうであるから、金融業界とギャンブルの繋がり、ギャンブル依存症と金融業界の関係を調べていこうと思う。 まずギャンブルをしている人は、金銭感覚が普通の人とずれている。毎日1万円、2万円を使っても、それが普通であると考えている。それで、大抵は負けてしまって一文無しになってしまう。昔ならそこで素直に家に帰宅したりするはずであるが、現在ではいたる所にATMが設置してあり、クレジット会社や消費者金融など各金融機関全てが利用できるようになっている。負けてしまった人でも,ATMでお金を引き出し、またギャンブルに没頭する。ましてや依存症の人は、金銭感覚がずれており、正確な金銭の判断ができない。このような人たちにお金を貸したらどうなるかくらい、目に見えているはずである。しかし、お金を手軽にしかも簡単な審査でお金を貸す。これこそが、ギャンブルと金融業界のつながりという点で,最大の問題であると考える。近所のパチンコ店の近辺を調べてもらえばわかることであるが、大抵近くにキャッシング会社のATMが設置され,またはコンビニにもATMが設置されている。しかし、これは法律ではまだ規制されていないのである。もし規制されていたのであるならば、このように店の近辺にはそういった金融機関のATMなどが存在しないはずである。だが最近ではようやく金融業界も気づいたらしく、パチンコホール専用のATMも独自に開発しているところもある。そのATMと普通のATMとの違いは2つある。第一の違いは、のめり込み防止策として、1日の利用限度額が3万円であるということである。第二の違いは、クレジット会社や消費者金融などのカードが利用不可能になっていることである。これによって借金につながるような要素を排除しているという点である。ここでパチンコ店内にATMを設置して問題にならないのかという疑問が出てくるが、これも法律で規制はかかっていないので問題はないのである。このようなATMが設置されれば依存症患者も少しは減少していくのではないのかと思われる。しかし、複数の仲間同士により、一種のネズミ講のようなものができるのではという考えもできるため今後さらなる改良が必要であるとも考える。
ギャンブルには全ての種類に応じて法律が存在している。例えば、競馬なら競馬法、競艇なら競艇法といったように法律が存在する。これらの公営ギャンブルは中には多少改正されたものもあるが、大幅に改正されたものはない。しかしパチンコ・スロット関連の法律は2005年11月、大幅に改正されたのである。2006年5月1日に施行され、現在ではその成り行き見守られている。。しかし、今のところでは、ギャンブル依存症を少しでも減少させようとしている法律はこれだけである。2005年の法律改正により、国がやっと動いたと感じていたが、実はそうではなかったのである。この法律の前提として,国は、ギャンブル依存症になってしまうのは、自分自身の意思が弱いためであるとしか考えていないということがうかがえる。このようなことから、国は積極的に解決には乗り出していないということがわかる。ギャンブル依存症の患者たち、ギャンブルに関係する各業界、そして自治体までもがこの問題に乗り出しているのに、国がこれしか動かないのはどうしてなのであろうかと考えざるをえない。 今では、ギャンブル依存症は数多くの社会問題の中でも大きな問題である。このように関連法律においても国がまったく関係ないというような無関心な態度であることが、一番の問題であるのではないのかと思う。
以上のように,本論文では,第1章 ギャンブルとは、第2章 ギャンブル依存症、第3章 ギャンブル依存症への対応、第4章 なぜ依存してしまうのか、と全部で4章構成で調べてきた。ギャンブルの基礎知識、ギャンブル依存症の知識、それを取り巻く環境などについて理解できたと思う。最後に,これらの知識を踏まえてなぜギャンブル依存症という病気にかかってしまうのかということについて考察し、まとめていきたいと思う。 今までこうして調べる以前は、やはりその人自身の意思の弱さが一番の大きな要因であると考えてきた。しかし、実際に調べてみて、実はそうではないと考えるに至った。たとえば、第4章のギャンブル業界と金融業界の両方が依存症を促進している要因となっている。つまり、ギャンブル業界は過度の射倖心を煽るギャンブルシステムを確立し、熱くさせるような演出によるギャンブルということを忘れさせてしまうような数々のゲーム感覚に陥ってしまう液晶画面によって,打ち手の射幸心を煽っている。金融業界は、パチンコ店などの近辺に、クレジットカードや消費者金融などの各金融機関が利用できるATMを設置している。ギャンブル業界が会社を大きくするために打ち手に面白い機種を提供しなくてはならないので、熱くなれるような演出や液晶画面は仕方ないとは思う。しかし、現在のシステムではあまりにも射幸心をあおるようになってしまっているのは考えものであると思う。パチンコ業界としては早急にシステムの改変をするべきではないのかと思う。金融業界としては、パチンコ専用のATMの導入を早期に進めることが必要である。それと並行して、パチンコ専用ATMのみを利用させるために、パチンコ店やギャンブル関係の施設から普通のATMを遠ざけ、近辺には設置させないようにすることが大事であると考える。 関連法律の問題としては、まず国のギャンブル依存症に対する認識の改変を促すことが重要であると思う。現在の国の認識としては、自己責任という一言で済まされていると思う。それを自己責任ではなく、国民全体の問題として捉える事に変えることができれば、依存症を抑止させるような法律を立法できるのではないのかと考える。さらに国がそのような認識を持つおかげで、GA(ギャンブラーズアノニマス)日本インフォメンショーンセンターなどのギャンブル依存症克服を目指す地域組織やカウンセラー組織などにも十分な資金援助がなされ、今まではできなかったような活動や治療方法ができるのではないのかと思う。ギャンブル依存症患者が減少していけば、ギャンブルによる凶悪な事件や家庭崩壊などが減少していくことにもつながると思う。ギャンブルは楽しい娯楽としてのポジションに落ち着き、親しみを持っていってもらえるのではないのかと考える。
田辺等 ギャンブル依存症 日本教育出版 2002年12月発刊
ギャンブル依存症カウンセリング
http://www.interq.or.jp/tokyo/mtp/izonnsyou.htmGA日本インフォメーションセンター
http://www001.upp.so-net.ne.jp/ga-japan/産経新聞
http://www.sankei.co.jp/パチンコヴィレッジ
http://www.pachinkovillage.ne.jp/