地上波テレビ放送のデジタル化

法学部政治学科
学籍番号00142111
三嶋 啓仁

はじめに

 いままでに、デジタル化されてきたものはいろいろなものがあった。CDやMD、携帯電話などと様々である。すべては成功しているようにみえる。しかし、角度を変えて見ると、多くの問題を抱えているのも事実である。著作権問題・出会い系サイト・ネット詐欺などなど、例を挙げたらキリがないほどの問題がある。それだけのデメリットを抱えてまでデジタル化をしている。なぜであろうか。それはデジタル化することによるメリットが大きかったからである。

 地上波テレビ放送のデジタル化は本当に必要なのであろうか。デジタル化したことによるデメリットはあるのであろうか。そして、それを上回るメリットは果たしてあるのであろうか。

第一章

1−1 テレビ放送の始まり

 日本で民間のテレビ放送が始まったのは1953年で、それからすでに半世紀が過ぎた。放送が始まって7年後の1960年にカラー化がスタートし、1989年には衛星放送がスタートした。そして、2003年12月からこのテレビ放送が大きく変わろうとしている。これは今までの『カラー化』や『衛星放送』とはまったく異なった変化なのである。それは地上波デジタル放送化である。

 デジタル化とは今まで電波の強弱で表してしていたのを0と1に置き換えて情報をあらわすことである。身近なもので言えば、レコードからCD、ISDNからADSLへ変わったことが挙げられる。

 地上波放送のデジタル化とは、ほぼこれらと同じことが行われると思ってよい。

出典:放送文化研究所 放送とともに歩んだ。調査・研究より抜粋
放送界とNHK
1953NHKテレビジョン本放送開始
民放テレビジョン開局
1957FM実験放送開始
1959NHK東京教育テレビジョン開局
1960カラーテレビ本放送開始(東京・大阪)
1968民放48社、カラー化完了
1969NHK, FM本放送開始
1971総合テレビ全面カラー化
1978わが国初の実験用放送衛星打ち上げ
1982テレビ音声多重放送本放送開始
1983聴力障害者向けに文字放送開始
(東京・大阪)
1984放送衛星BS-2a打ち上げ
BS-2aによる試験放送開始
1985放送大学開講
1986放送衛星BS-2b打ち上げ
文字放送、全国放送を開始
1987衛星実験放送による24時間実験放送開始
1989衛星放送,本放送開始
1990放送衛星BS-3a打ち上げ
教育テレビ音声多重放送開始
1991放送衛星BS-3b打ち上げ
ハイビジョン試験放送開始
1992民放,中波ステレオ放送開始
CSテレビ, CS-PCM音声放送開始
コミュニティー放送局開局
1993テレビ放送開始40年
1994ハイビジョン実用化試験放送開始
1995放送開始70年
NHK映像国際放送開始
1996FM文字多重放送開始
1997総合テレビ平日24時間放送実施
1999衛星放送10周年
2000BSデジタルハイビジョン放送開始
2003地上波デジタル放送開始

1−2デジタル放送

 年表で見たとおり、すでにデジタル放送をしているテレビが存在している。衛星放送、BS、CS、そしてケーブルテレビである。ちなみにBSとCSの違いは、BSは放送衛星(Broadcast Satellite)、CSは通信衛星(Communication Satellite)と使っている衛星の違いである。日本ではBSが力を持っているが、世界ではもっぱらCSのほうが力を持っている。

 わが国では、1996年から最初のデジタル放送がCS放送というかたちでスタートした。スカイパーフェクTVやWOWOWがそうである。スタート直後からテレビ放送がおよそ70、音声放送が100以上の放送、つまり多チャンネル化が始まったのである。

 ケーブルテレビは地上波放送が見ることができない視聴者のための対策として始まったのであるが、現在では加入するとBS放送とCS放送が視聴できること以外にインターネットに繋げられるという、通信のサービスにまで発展している。

1−3地上波デジタル放送の始まり

 2003年12月1日から地上波デジタル放送が一部の地域、東京・名古屋・大阪でスタートした(他の地域では2006年ごろ開始予定)。とは言っても東京・名古屋・大阪全体ではなくほんの半径数十キロの範囲である。それでもすでに知らない人はほとんどいないのである。なぜであろうか。それはNHK(日本放送協会)を始め、民放各局などの放送局ではCMや特別番組を組み、PRを続けており、果ては電気店までがPR活動をしているからである。

 その背景には2003年9月に電通が採ったアンケートが大きく関わっていると思われる。そのアンケートとは『地上波デジタル放送を知っているか。』という非常に率直なアンケートである。結果は『知っている』が59%と6割程度しか認知されていないというものであった。しかも『知っている』と答えた人のうち79%の人は『聞いたことがあるだけ』という程度であった。つまり、テレビがデジタル化することは、なんら自分には関係ないと思っている人がほとんどなのである。

 しかし、この地上波デジタル放送を進めているのは『国』であり、これから必ず変わっていくものなのである。一家に一台・・・どころではない。一人一台になっているテレビが変わっていくのである。それに対して無関心のままではいられないのである。

第二章

 それだけPRをしているのであるから地上波デジタル放送にはそれだけのメリットが備わっているはずである。そのメリットとデメリットについて調べてみた。

2−1 メリット

 特に力を入れてPRしているメリットは3つある。『高精細度・高音質化』『多チャンネル化』『双方向化』である。

 高精細度・高音質化は、レコードがCDに変わったのと同質の事が起こるのである。前章でも述べたように、今までの放送は、色の濃淡や音の強弱を波(アナログ放送の場合は電波)の振幅の大きさによって表現しており、それを0と1の組み合わせに変換(波線グラフを棒グラフに変えるようなこと)することによって、色の濃淡や音の強弱を表すことがアナログ放送である。アナログ放送がデジタル化されることにより、ゴースト(テレビ画面上の画像がぶれて見えること)が起こりにくくなる。またデジタル情報は圧縮することが可能なので、アナログ放送では配信できなかったデジタルハイビジョン放送を配信することが可能になるのである。

 多チャンネル化とはその名のとおりチャンネル数が増えることである。なぜチャンネル数が増えるのかというと、デジタル圧縮技術によって同一の伝送路にアナログ技術よりも多くの情報を流すことができるようになるからである。CS放送が良い例であり、すぐに300チャンネルを超える放送が提供できるようになっている。ちなみ多チャンネル化することによって放送事業者からすると同じソフトを利用することができ、それによって複数のチャンネルを運営・管理していくことができればプラスに働いていく。

 また多チャンネル化するにあたって、視聴率専用放送なるものも出てくるかもしれない。

最近、視聴率操作問題がテレビメディアの倫理を大きく揺るがしたが、視聴率専用放送によって、もちろんのことながら、視聴率操作問題はなくなるであろう。一部のデータでだけで視聴率を表すのではなく、一台一台のテレビが情報を送ることによって、より正確でリアルタイムな視聴率がだせるようになるので、視聴率を操作するなどという不届きな行為はなくなるといっていいであろう。

多チャンネル化によって、次のような事態が出現すると考えられる。

 通販専用のチャンネルができ、テレビで見たものをそのまま画面で購入できるシステムも確立するであろう。

 またペイ放送が充実する。現在の衛星放送、スカイパーフェクTVやWOWOWがそうであるように、有料のテレビ番組が増えることであろう。高画質・高音質・さらに大画面のテレビ(現在売られているデジタルテレビのほとんどが22インチ以上のワイドテレビ)で迫力ある映画などが楽しめそうである。

 今まで使っていたアナログ放送の周波数帯が空白になるのであるから、これを他の通信に使わない手はない。つまり携帯電話に使用することもできるようになる。次世代携帯電話の売りの一つに高速パケット通信などがあるが、アナログ周波数帯に割り当てをすれば、より現実味を帯びた高速通信が可能になるであろう。携帯電話事業者にも多チャンネル化は利益を生み出すのである。

 生活のクオリティも上がるであろう。なにしろ情報量が圧倒的に増えるのであるから、それを使いこなせれば、生活の質も上がっていくであろう。例えば料理教室に通わなくても、テレビで料理番組を見ながら料理を学べたり、放送大学など自宅で学習できるシステムなどが確立するかもしれない。料理番組は、夫婦円満に貢献できそうな感じがしないでもない。多チャンネル化に様々な要素が絡んできておりまさしく無限の可能性を秘めていると言えよう。

 双方向化は今まで情報を受け取るだけであったテレビが、自分からも情報を送信できるという『通信』という機能を備えることである。例えばテレビを使ってクイズ番組に参加することができるようになり、通信販売も電話を使わず、画面で商品を選び、クレジットカードの暗証番号を入力するだけで商品が買えるようにもなる。もしかしたら、ショッピングでだけでなく、家にいながらすべてが済ませることができる環境になるかもしれない。

 その他、自分で調べてみて判ったことをあげてみる。

 テレビ視聴の高度化…デジタルテレビに大容量メモリ(HDDやDVDレコーダなど)が備わることにより、番組をテレビに録画することができ、視聴者は好きな時に好きな番組を取り出して見ることができるようになるのである。また放送局自体がオンデマンド配信する可能性もでてくる。

 操作の簡素化…画面で番組表を確認できるようになったことにより、ビデオの録画が簡単にできるようになる。番組表を見て、その欄を選ぶだけで自動的録画できたり、野球中継で時間が延びても(多チャンネル化によってこの事象はおきない可能性大)時間を遅らせて録画することができたりできるようになる。またリモコン一つですべてを使えるようにしているので、パソコンのキーボードに不慣れな高齢者にとっても、使いやすい仕様になるのである。現在、パソコンを縦のメディア、テレビを横のメディアと呼ばれている(パソコンを使う時はちゃんと座ったりしているが、テレビは寝転がって使える)所以でもある。なにか通信販売の番組を見ているときに欲しいと思ったものをリモコンで操作するだけで購入可能になる。すべての操作が親指一本で済むのである。

 またテレビに字幕や音声サービス・解説放送サービスが充実することによって高齢者や障害者に向けたサービスが実現する。

 移動しながらテレビが見られる…現在でも車でテレビを見ることができるが、高速を走っている時は画像が乱れがちであるが、それがなくなるであろう。また携帯電話での視聴も可能になったのでより便利になるのである。

2−2 デメリット

 次に、デメリットについてである。私にはこちらのほうが多いように思われる。まずすぐに思い当たるのがコストの問題である。これまで、地上波アナログ放送が見られていたのに、今後デジタル放送に変わることによって、今まで使っていたテレビが使えなくなってしまうのである。そうなれば、すべてのテレビを買い換えることになる。買い換えないまでもデジタル放送を受信するためには専用のチューナーが必要になってくる。デジタル放送対応のテレビを買うとなると20万円から、チューナーのみの場合は5万円程とそのすべてを我々が負担することとなる。おまけに現時点では22インチからのサイズしか販売していないのである。(ネット通販、店頭調べ)居間には置けても一人で見るには大きすぎる気がする。これでは、どこにでも置くということは不可能である。今後10年で40兆円の市場になるという情報もある。しかし、この不景気にそれだけの金銭的負担を抱えても地上波デジタル放送を視聴者が必要である、と思えるほどのメリットが先ほどあげたメリットの中にあったのであろうか。

 また日本の地上波アナログ放送を受信している地域すべてをカバーできるのかという問題も残っている。デジタル放送に変わったことにより放送が受信できなくなってしまうのであれば、本末転倒である。

 すべてのメリット一つ一つ検証して問題点を挙げていきたいと思う。

 『高精細度・高音質化』については良いことばかりのようであるが、実際には、大衆は興味を抱いていないのである。確かにレコードからCDへのデジタル化は、これ以上ないほどの成功を収めた。音飛びもなくなり、レコードのように針で磨り減っていくこともない。聴きたいところをすぐに出せたり(レコードの場合は大体この辺ではなかろうかとカンで針を置いていたらしい)CDになったことにより劣化することなく半永久的にデータを保存できるようになった。これらのメリットが影響して10年足らずでレコードはCDというメディアに市場から駆逐されてしまったのである。

 映像メディアに関して言えばVHSからDVDに変わりつつあるが、自宅でテレビの録画をするにはVHSが主流である。さらにDVDが出る以前にS−VHSなるものがある。これはVHSよりも高画質で録画できると謳ったものであったが、まったくと言って良いほど普及しなかった。なぜであろうか。消費者が「VHSのままで充分である」と感じてしまったからである。だから、ビデオを買い換えるとなっても、S−VHSを買わず(一部のマニアにはヒットしたという噂もあるが…)、今までどおりのVHSを買うのである。これでは普及するはずもない。

 本題に戻るが、我々は今のテレビにそこまでの高画質や高音質を求めているのである。ろか。

そんなことはない。今の状態に満足している人が多いはずである。家でのテレビの使い方を見ていると、ただ、テレビをつけているだけの時間のほうが長い。それぞれが気になったニュースやドラマの時だけ真剣に見ている。つまり、映像よりもその内容や情報を得るために見ているのであって、画質がすごいから見ているわけではないのである。画質などを重要視しているのはデジカメやビデオカメラなどであり、これらを買う客層は画像になにかしらにこだわりを持つ人たちであり、何気なく見ている人々は、テレビにそこまでの高画質を求めていないのである。

 次に多チャンネル化であるが、我々にとっては、得られる情報量が膨大なものになるのであって、これは良いことである、とおもう。しかし、テレビ番組を制作しているほうから見れば頭の悩ませどころである。放送できる番組数が増えるので大衆がどんな番組(コンテンツ)を欲しているのか常に調べ(現在もその努力はしているであろうが)放送していかなければならない。その情報も質を落とさずに大量に放送するには、相当の労力が必要になってくるのである。またCMにも工夫が必要になってくる。CMになった途端にチャンネルを変えてしまわれたら、CMを流す意味がなくなってしまう。これが酷くなるとCMを流している企業としては高い広告料をだして宣伝しているのに効果がなくなってしまい、テレビ局のスポンサーを辞めてしまうかもしれない。そうなっては、テレビ局は資金がなくなってしまうので放送自体ができなくなってしまうのである。そのようなことは、さすがにない(人々が得る情報のほとんどはテレビから得ているからである)としても大きくCMも変わっていくであろう。

 多チャンネル化によりペイ放送も増える。ペイ放送と言うのはペイパー放送・ペイパービュー放送のことを指し、要はお金を払って見るテレビである。これによって生活のクオリティに差が出てきてしまうのではないであろうか。ある番組を見られる子供と見られない子供がでてきて、イジメなどの問題に発展したりしてしまうかもしれない

 さて双方向化も最大のメリットであると同時に、大きなデメリットとなり得るのではないか。まず双方向化するにあたって、受信は今までどおりにできるとしても、発信のほうはどうするのか。今の技術では各家庭で電波を発信することはできない(できたとしても強力な電波で人体への悪影響や混線の可能性がある)。一番簡単なのは電話回線と繋げてしまう事であろう。そうすることによって新たな問題も発生する。インターネットとの住み分けである。お互いのシェアを食い潰しあってしまう事もあり得るのである。

 またインターネットや携帯電話、クレジットカードなどで問題になっている個人情報の漏洩も考えられる。また、普通のテレビからでも情報を発信できるのであるから、ウィルスなど作る輩も出てくるかもしれない。

 他にも様々な問題が考えられる。『1984年(ジョージ・オーウェル)』という小説がある。これは日常生活の隅々すべてが監視・管理されている世界の話である。地上波デジタル放送が始まることにより監視・管理が可能になるかもしれない。小型のカメラと組み合わせればテレビから発信することも可能なのでテレビの前に居ればプライバシーなどは無くなってしまうであろう。

 さらにいえば、インターネットが普及したことによって起こった引き篭もりがさらに加速されるかもしれない。すべてのコミュニケーションが画面上で済ませてしまうことが出来ることになってしまう。前回の論文で私は携帯電話の普及についてやったが、携帯電話が普及したことにより、直接会って話すということが少なくなってきている。私は、人間は、直接会って話すことが人との繋がりでとても重要である、と感じた。テレビによって問題が少年層にまで広がっていく可能性がある。パソコンによるインターネットは技術的に小学生では使いこなせることが難しいと思われる。(もちろん使える小学生もいそうであるが・・・)テレビをつけることは誰でも簡単にできるからである。

第三章 果てして普及するのであろうか。

3−1

さて前章でこれだけのデメリットを挙げたわけであるが、果たして地上デジタル放送は、普及するのであろうか。答えは簡単である。必ず普及する。というか普及させなければならないのである。なぜか。これはあくまで国の事業だからである。そしてもう口火を切ってしまった以上、失敗は許されないのである。

 しかし、現在では視聴者(=国民)に向けたサービスであるはずなのに、視聴者を無視してデジタル化を進めているのである。まずは、この問題を改善していかなければならない。そのためには、第一章で挙げたメリットにさらに加え、より強力なメリットを打ち出し、このデジタル化が意味のあるものである、と我々に提示していかなければならない。

 加えて今のサイマル放送(アナログ放送とデジタル放送の両方を発信)を期限より長く続けていくべきであろう。2011年にはアナログ放送を打ち切ってしまう方針であるが、現状の国民の理解では今後8年間では難しいように思われる。

3−2 海外の地上波デジタル放送

 これまでわが国の地上波デジタル放送について触れてきたのであるが、他の国々、先にデジタル波放送を始めた国はどうなのであろうか。

イギリス場合

 1998年に、BBCが地上波デジタル放送を開始している。そして、デジタルテレビが90%から100%の普及になるまでには2013年ごろ、開始後15年は必要と見ており、アナログ放送の終了時期はまだ公表しておらず、慎重を期しているようである。それでも早期に発表し、デジタルテレビの普及を促進させようともしている。

アメリカの場合

 アメリカでは連邦通信委員会が、ABC、NBC、CBS、Foxの四大ネットワークに1998年11月を目標にデジタル放送を開始するように義務づけ、2006年には地上波デジタル波放送へ移行させ、同時にアナログ放送を終了させるとしている。このようなスケジュールは決まっているのである。だが、その他の事柄に関しての目処はきまっていないようである。2000年にデジタル放送が見られる地域を60%と伝えたられているが、国民はいまだにアナログ放送を見ているのである。その背景にはアメリカではケーブルテレビが全体の70%の普及をみせており、ケーブルテレビをとおしてアナログ放送を見ているのであるから、ケーブルテレビがデジタル化しなければ、誰も専用のチューナーや高価なデジタルテレビを買わず、地上波デジタル放送が普及するはずもないのである。

イギリス・アメリカ両国とも計画自体では進んでいるが国民がデジタル放送についてこられずに、アナログ放送の廃止にまではたどりつけていないのである。

3−3 では日本の場合は…

 地上波アナログ放送を先にデジタル化し始めた国でも普及の目処はたっていないのである。では日本ではどうなるのであろうか。今のままでは普及しないのは目に見えている。ではどうしたらよいのであろうか。ここに一つ興味を引くニュースがある。

日本電気株式会社 (NEC)は2003年12月17日、インターネットの視聴動向と、それに関わる生活環境のアンケート調査結果を発表した。
この調査は、「 BIGLOBE 」が運営管理するマーケティングリサーチサービス「 DR1 」を利用したもので、2003年10月24日〜29日に実施し、991人から回答を得た。
これによると、テレビで見た情報をきっかけとして、その場でインターネットアクセスをした経験のある利用者が51.5%おり、前年同期に行った調査結果より8ポイント伸びた。アクセスする動機として多かったのは、グルメや旅番組などの詳細情報の確認、プレゼントや限定情報の確認、バラエティやドラマなどの番組内容の閲覧など。
また自宅において、テレビとパソコンとは同じ部屋で利用することが多く、リビングでインターネットを利用する利用者の93.7%は、テレビもリビングで見ていた。寝室などの場合も同様で、テレビのある場所でインターネットを接続する傾向が高かった。
動画コンテンツの視聴経験は72.6%であり、女性よりも男性の方が動画コンテンツの視聴経験が高かった。視聴経験の高いコンテンツは映画・予告編が65.4%、ニュースが43.4%、音楽・プロモーションビデオが43.4%となった。』  yahoo!ニュースより

 このことから、ほとんどの家庭ではテレビとインターネットができる環境が揃っているという事である。それではテレビとインターネットを一緒にしてしまうというのはどうであろうか。棲み分けではなく共存していくのである。今でもパソコンでアナログ放送が見られるモデルもある。おまけにADSLや光ファイバー(FTTH)による通信網も整備されつつある。さらにケーブルテレビではインターネットの接続サービスまで担っているのであるから、この二つを使い、地上波デジタル放送を発信していく方法はどうであろうか。双方向化はインターネットを使うことにより、こちらから情報を送ることはわけないし、多チャンネル化もケーブルテレビの強みの一つである。さらに、高音質化・高画質化はテレビには必要以上に求められていないことが分かっているのであるから、さほど問題ではないであろう。

 しかし、まだ問題が残る。光ファイバー通信は、最近始まった新サービスあり、認知度がいまだに低い。また光ファイバー自体は、もうすでに電線と同じほど走っているのである。だが、各家庭にまで引きこむまでの問題(10メートル問題)が残っている。さらにADSLに比べると料金も割高でインターネット利用者も敬遠しがちである。最近では集合住宅や一つのファイバー回線を複数の世帯で使用(毎秒100メガビットの通信速度なので問題はほぼない)することで料金を引き下げるプランもでてきているのでこれからますます利用者は増える見込みがある。

おわりに

 私には、地上波デジタル放送単体での存在は必要ないと考えられる。それは、他の機器との繋がりがどんどん進んでいく中では、デジタル化に意味があると考えたからである。

 これから私たちの周りでどんどんデジタル化が進み、近いうちにすべてがパソコンとつながり、家の外にいながら、家の電化製品が操れる(デジタル家電)時代がくる。わたしは地上波デジタル放送によってパソコンとテレビが合体すると予想したが、本当にそうなるかは分からない。しかし、周りのものすべてがリンクしていくことは間違いない。ハイブリッド化していくことによって、私たちの生活は便利になっていくであろう。しかし、ハイブリッド化し、様々な分野がブラックボックス化(デメリットのことを指す)していくことにも目を向け、新しい道を探さなければいけないのかもしれない。そして厖大になっていく情報に惑わされることなく、自分に必要な情報を見極める能力をつけていくことが大事になるのである。

あとがき

 このテーマを最初に興味を持ったのは内定を頂いていた企業(電気機器の商社。諸事情により現在は別の就職先)の社長から「テレビがデジタル化するのは知っている。」と聞かれ詳しくは答えられなかったので「勉強しておきます!!」と答えたのがきっかけである。

 調べ始めてみたものの旬なネタであり、この論文を書いている最中にも様々な情報が増え新聞などは欠かさず読むようになった。自分で処理していくのも大変である。力はついたと思う。そのうちにこのテーマの奥深さを知り、楽しくてしょうがなくなってきていた・・・。

参考文献

参考HP

Acknowledgements

Special Thanks are