1998.4.29 に更新しました
本 文
■五■ つごもりがたにしきり て二夜ばかり見えぬほど、文ばかりある返りごと に、
消えかへり露もまだひぬ袖の上に
今朝はしぐるる空もわりなし
立ち返り、返りごと、
思ひやる心の空になりぬれば
今朝はしぐると見ゆるなるらむ
とて、返りごと書きあへぬほどに見えたり。またほどへ て見え怠るほど、雨など降りたる日、「暮れに来 む」などやありけむ。
柏木の森の下草暮ごとに
なほ頼めとやもるを見る見る
返りごとは自ら来てまぎらはしつ。
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