1998.5.14 に更新しました
本 文
■二五■ 七月になりて、相撲のころ、古き新しきと、一領づつひき包みて、「これせさせ給へ」とてはあるものか。見るに、目くるる心地ぞする。古体の人は「あないとほし。かしこには、え仕うまつらずこそはあらめ」、「なま心ある人などさし集まりて、すずろはしや」、「えせで、わろからむをだにこそ聞かめ」など、さだめて、返しやりつるもしるく、ここかしこになむ、もて散りてすると聞く。かしこにも、いと情なしとかやあらむ、二十余日訪れもなし。
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