1998.5.14 に更新しました
本 文
■二七■ さてまた、野分のやうなることして二日ばかりありて来たり。「一日の風はいかにとも、例の人は問ひてまし」と言へば、げにとや思ひけむ、ことなしびに、
言の葉は散りもやするととめ置きて
今日はみからも問ふにやはあらぬ
と言へば、
散り来ても問ひぞしてまし言の葉を
東風はさばかり吹きしたよりに
かく言ふ、
東風と言へばおほぞうなりし風にいかが
つけては問はむあたら名だてに
負けじ心にて、また、
散らさじと惜しみ置きける言の葉を
きながらだにぞ 今朝は問はまし
これは、さも言ふべしとや、人ことわりけむ。
★『蜻蛉日記』総目次へ戻る★
[ 浜口研究室の INDEX へ戻る ]Copyright (C) 1997 Toshihiro Hamaguchi